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2015年のアイドルシーンで失ったものと、2016年のアイドルシーンで変わるもの

<相次ぐ人気メンバーの卒業と新しいグループの台頭>

クリスマスが終わり、一気に正月モードに突入した。2015年が終わろうとしているいま、今年のアイドルシーンを振り返ろうと思うのだが、そこで絶対に外せない出来事がある。それは、2015年1月1日(元旦)に東京ドームシティホールにて行われたPASSPO☆ 奥仲麻琴の卒業公演「新年だよ!5周年とすこし便 ~全曲忘れず踊れるかな~」だ。

この公演はタイトルどおり、PASSPO☆の楽曲をすべて披露するというもの。Wアンコールを含め、6時間を超えるステージとなった。

元旦から集まった約3500人のファンを前に、6時間を超えるライブとともに行われた卒業セレモニー。PASSPO☆のまさにアイドル的存在だった、この奥仲麻琴の卒業は、2015年のアイドルシーンを象徴しているように思うのだ。

2014年に卒業したアイドルは500人を超えていたそうだ。そのため、アイドルの卒業はそれほど珍しいものではなくなってしまった。ただし、2015年は活動歴のある人気グループやメンバーが多かったというのが特徴的だ。風男塾、 SUPER☆GiRLS、チャオ ベッラ チンクエッティ(THE ポッシボー)、さんみゅ~、palet──などから、メンバーが卒業や休止を発表した。ここに、グループとして解散したアイドリング!!!やソロの武藤彩未が加わってくる。

特に2015年後期での卒業が多く、TIF2015(TOKYO IDOL FESTIVAL 2015)でのステージが最後のTIFでの姿だったというアイドルも少なくない。SKE48の松井玲奈などは、まさにその代表だろう。そして、国民的アイドルグループAKB48からも、川栄李奈など卒業者は多数出た。

この流れはハロー!プロジェクトにも見られる。TIF2014開催期間中だったタイミングで、Berryz工房が中野サンプラザにて活動休止を発表。今年、2015年3月に活動を休止した。そして2015年後半には、アンジュルムの福田花音、モーニング娘。’15の鞘師里保と、主力メンバーの卒業が相次いだ。

こうやって卒業および休止情報ばかり並べていくと、2015年のアイドルシーンはとてもマイナスなものに見えてしまうが、もちろんその一方で新たなグループの台頭もあった。

2014年に結成され、TIF2015ではメインステージでのパフォーマンスも行ったアイドルネッサンスや、2015年に結成されたばかりのiDOL Street第4弾アーティストのわーすたは、勢力を拡大しつつある。

AKB48グループにNGT48が加わったり、ハロー!プロジェクトにもこぶしファクトリーやつばきファクトリーといった新グループができるなど、卒業はあれど、そのぶん新たに追加されている──というのがいまのアイドルシーンだ。

そのため、動向はめまぐるしく変わっている。

<2016年はアイドル同士の競争が激化する年>

こうした新旧の入れ替わりを繰り返した結果、2015年のアイドルシーンのポイントとして「差の縮小」というものが挙げられるだろう。これまで、先に紹介したような活動歴のあるグループと、新規グループの人気には大きな差があったように思う。その差が一気に縮まった印象を受けるのだ。

メンバーの卒業だけではなく、さまざまなカテゴリーのアイドルが増えたことでファンが分散した、ひとつのグループではなく、複数のグループを応援するファンが増えた、など、その要因は多様だろう。ただ結果として、アイドルの人気格差がだんだんとフラットになってきていることは事実だ。

では、2016年は下克上の年だ! となりそうだが、簡単にはそうもいかないだろう。

TIF2015では、PASSPO☆のキャプテン根岸愛が「やめていったアイドルさんたちの気持ちを背負ってでも活動してきたい」と宣言したし、アップアップガールズ(仮)関根梓の「アイドル戦国時代はまだまだ終わらせない」と涙ながらに語った、ハイスパートRAVEフェスティバルの最終公演でのMCは記憶に新しい。また、現在TOKYO IDOL編集部のパワープッシュにてiDOL Streetリレー特集を実施中だが、次回に予定しているSUPER☆GiRLS前島亜美からは「私たちは絶対に負けません!」という気迫あふれる発言も飛び出している。

2015年中に活動歴のあるグループと新規グループの差が縮まったと書いたが、その中でそれを自覚して、しっかりと危機感を持っているのは、そうした活動歴のあるグループなのだ。2015年後半は、こうしたグループが気合いを入れ直すことで、素晴らしいライブパフォーマンスを展開した。まだまだ追い越されたくない、という強い思いを持っているのだ。

2015年のアイドルシーンの特徴として、「みんなで盛り上げていこう!」というものがあったように思う。アイドル全体がアイドルシーンを盛り上げるために協力する、という感じだ。対バンなどでは、コラボステージが展開されたり、一緒に撮った2ショット写メがSNSに拡散されたりする。もちろん、アイドル同士で実際に仲がいいという子は多いだろうし、こうした楽しい雰囲気はファンもうれしい。ただ、それだけで満足できてしまっていたというのも事実で、アイドル同士がライバルだという感覚が若干薄れていたように感じるのだ。

2016年のアイドルシーンは、競争が激しさを増すように思う。ライバルよりも前に出るために努力したグループしか残らない。一緒に肩を組んで歩こう、というグループは置いていかれてしまうだろう。

活動歴のあるグループには、すでに闘争心むき出しのところが表れており、ワンマンライブで素晴らしいパフォーマンスを披露し、ファンを魅了している。次世代を担うアイドルネッサンスやわーすたは、対バンではなく定期公演というかたちでしっかりと自分たちのファンを増やしている。また、2015年に登場し、すでにアイドルファンから多大な支持を得ている原宿駅前ステージなどは、対バンに出ない、コールがない、終演後物販がない、といった独自の展開をスタートから実施しており、最も新しいアイドルの姿として2016年も注目されるだろう。このように、それぞれが自身のテリトリーの中でしっかりとファンにアピールできているのだ。

TIF2016の開催も発表され、対バンイベントなどたくさんのアイドルのイベントが2016年も用意されているのは間違いない。そうしたイベントで、自分たちをどう見せてほかと差別化し、さらにファンを獲得していくのか。それが2016年のアイドルシーンで生き残るために不可欠なものとなるだろう。

アイドルシーンを盛り上げるためにも、何か起爆剤は必要だ。そろそろ「ガチンコ」で競争してもいいのでは? と感じている。新旧のグループが切磋琢磨することで、アイドルシーンはより盛り上がると思うのだ。


TEXT:荒井敏郎(TOKYO IDOL NET

TOKYO IDOL NET

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ライブレポートやポートレートを中心に、写真とアイドルをコンセプトに展開するウェブサイト。掲載している写真にはExif情報があり、シャッター速度やISO感度などを確認できるといった特徴がある。ウェブサイトの運営のほか、ジャケット写真の撮影やイベント用写真の撮影、ほかメディアへの写真の提供など、写真を中心にさまざまな活動を行っている。