特集

アイドルフィロソフィー
~古川未鈴(でんぱ組.inc)~

TOKYO IDOLが注目するアイドルとともに”理想のアイドル”について考え、様々な角度からアイドルの条件やアイドルのあり方などを探る特集企画「アイドルフィロソフィー」。
今回は、ニッポンのイメージを独自の感覚でまとめあげ、音楽、ファッション、ゲーム、料理まで幅広いフィールドで活躍する「でんぱ組.inc」から”歌って踊れるゲーマーアイドル”古川未鈴(ふるかわみりん)さんが登場。自身が理想とするアイドル像やこれからの展望、アイドルを目指した原体験などについてお話を伺いました。

Edit:TOKYO IDOL編集部

feat_dempagumi_mirin_mainphoto-680x518秋葉原の“現在”と“未来”を体現する次世代型ゲーマー・アイドル

【アイドルになる条件の一つは「誰かに憧れられること」】

古川未鈴さんが考える”アイドルとはなにか?”を教えて頂きたいです。

古川未鈴(以下、古川):私自身のことは一旦置いといて、私が思うアイドルとは「憧れられる存在」です。もしかしたら女の子にしか分からない感情かもしれませんが、ステージで歌って踊りたいと、みんなきっと一度は思ったことがあって。私も同じように考えていたんだと思います。アイドルになる条件はいくつかあると思いますが、そのうちのひとつは誰かに憧れられることだと思います。ただ、自分が今そういう存在かというと「う〜ん、、、」という感じですけどね(笑)。

はじめて憧れた人は誰ですか?

古川:モーニング娘。さんやSPEEDさんに憧れていました。それで少しでも人前に立てるようなことをやろうと思って、秋葉原のディアステージで歌うようになったんです。モーニング娘。さんもSPEEDさんもひとつの楽曲をみんなで歌って踊るじゃないですか。パフォーマンスをしているところを観るのが大好きで、極端な話、それだけで良いくらいなんですよ。その人の素の個性だったり背景についてはあまり気にならなくて…。歌って踊ることがただただ好きだったんだと思います。

なにより「歌って踊る」という要素が不可欠なんですね。

古川:もともとはディズニーランドのショーが大好きで、それがきっかけでいろいろなショーを見ることが好きになり、新体操やバレエを習い始めるきっかけになったと思います。

アイドルの持つ物語に共感する、という楽しみ方についてはいかがですか?

古川:私自身、もともとは「ストーリーなんていいよ」くらいの考えで(笑)。でんぱ組.incは割りとストーリー性を前面に出している部分も強くあったりして、個人的には不安もあったのですが、それをショーのように見立てるならアリだなと納得したんです。なので今となっては「なるほど〜」と思うようになりました(笑)。

feat_dempagumi_mirin_photo01-680x453でんぱ組.inc 代々木第一体育館ワンマンライブ「でんぱーりーナイトdeパーリー」より

【個性を「作る」ことと、「出す」ことは違うなと気づいた】

でんぱ組.incのライブもミュージカルのように派手な演出があったり、限りなくショーに近づいていると思いますが、未鈴さんの中で本来やりたかったことと、実際にやることが一致したターニングポイントはいつですか?

古川:変わったと思うきっかけはYumiko先生が振り付けをして下さるようになったことと、トイズファクトリーさんからメジャーデビューしたことです。Yumiko先生のつくるステージはあまりにも画期的すぎて、Yumiko先生自体がでんぱ組.incなんじゃないかと思ったり(笑)。リボンを使った振り付けも「新体操っぽくやる必要はないから、自分の中で理想の動きをイメージしながらやって下さい」って言われたんです。上手いか下手かでなく、その時のキラキラしている瞬間をステージに出したい、と。私がもし振付師になったとしてもそんな発想は出てこないないと思いましたし、どんな心持ちで踊ればいいのかを教えてくれたんだと思います。トイズファクトリーさんからデビューしてからは「これがメジャーか!」と思うことももちろんありましたし(笑)、それにすごく些細なことかもしれませんが、現場に来てくれるスタッフさんがいるということ。やっぱり、私たちに期待してくれている人が近くにいるんだと感じると安心じゃないですか。

活動する中でファンの方々が求める”でんぱ組.inc像”のようなものを感じたことはありますか?

古川:2014年のツアー(「WORLD WIDE DEMPA TOUR 2014」)で『W.W.D』を歌った時、ひとりひとりの語りを入れながらこの曲を歌ったのですが、語りを入れてからの『W.W.D』とそれまでの『W.W.D』では聴こえ方が違うみたいでした。お手紙やTwitterのリプライを読ませて頂くと「私も未鈴ちゃんのような人生を送ってきました」というようなメッセージがたくさんありました。その時に改めて、いじめられてひきこもったりするような『W.W.D』の歌詞って珍しいことを歌っているんじゃないんだと気づきました。ただ、テレビに出ているような人はそういう歌をあまり歌っていなくて、そういう経験をしてきた私たちが今みたいな活動ができている状況を、ファンのみなさんは喜んでくれているのかなって思ってるんです。それに、応援して下さる方々が喜んでくれるような報告をできることが、私も一番うれしいです。

アートワークでもみなさんの姿形がどんどんデフォルメされていて、”でんぱ組.inc像”みたいなものがにじみ出ているのかと思いました。

古川:でんぱ組.incが5人組だった頃、プロデューサーのもふくちゃんに「個性を出しなさい! アイドルは個性よ!」とひたすら言われ続けていて(笑)。その頃は「自分に個性なんかない」と思っていたのですが、唯一ゲームが好きだったので”歌って踊れるゲームアイドル”と自称するようになりました。そうやって言い続ければいつか本当になれるんじゃないか、そういう願掛けみたいなところから始まったんです。

ただ、やっぱり個性を出すのは難しくて、うまくできなかったり何を話せば個性的なのかとか分からなくなってしまったこともありました。でも、個性を「作る」ことと、「出す」ことは違うなと気付き、私は個性を作ろうと思っていたみたいで、無理に変なキャラになろうとしていました。最近ようやく無理してまで個性的でいるより、「自分が思っていることをちゃんと言う」ことだけで十分なんだと思うようになりました。

feat_dempagumi_mirin_photo02-680x6093rdアルバム「WWDD」アートワークでデフォルメされたメンバーの姿