特集

編集部パワープッシュ
~村上来渚(GEM)×樋口P 編~

avexアイドル専門レーベル「iDOL Street」には、「SUPER☆GiRLS」「Cheeky Parade」「GEM」「わーすた」の4組のグループが所属しています。その総括プロデューサーとして、各グループのコンセプトなどを決めてまとめているのが樋口竜雄氏です。

今回、TOKYO IDOL編集部では、各グループの代表者と樋口プロデューサーとの対談を実施。これまでのグループの活動を振り返りながら、今後の目標などについて話をしてもらいました。

その第4回目は、GEMのメインボーカルでグループを引っ張る村上来渚と樋口プロデューサーの対談となります。GEMは、SUPER☆GiRLS、Cheeky Paradeに続く、avex初のアイドル専門レーベル『iDOL Street』の第3弾グループ。ダンス&ボーカルグループとして、アイドルというよりもアーティストに近いパフォーマンスを武器に活動しています。GEMはストリート生の中から選ばれた、まさに精鋭というメンバーで構成され誕生しました。その成り立ちについて、振り返ってもらっています。また、グループのセンターである武田舞彩の留学による活動休止についても、語ってもらいました。


Interview・Text/荒井敏郎(TOKYO IDOL NET) / Photo:西村一光(TOKYO IDOL NET)

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アイスト対談シリーズ、ラストとなりました。まずは、GEMの成り立ちからお聞きしたいと思っています。

樋口竜雄プロデューサー(以下、樋口P):全国にストリート生の地区ができた時に、なんでこんなにすごい子たちばっかり集まったんだろうっていうのが3期で、ファンも公認で「3期生がすごい」みたいなのがありましたね。中でも最強と言われていたのが、村上がいたw-Street OSAKAだったんだけど、そもそもどうしてアイストの3期生受けてくれたの?

村上来渚(以下、村上):2010年かな? そのときに最初のオーディション(avexアイドルオーディション2010)のポスターを見たんです。でもその時はまだアイドルってAKB48さんのイメージしかなかったので、あんまり興味がなくて受けませんでした。その次のオーディションの時にチキパ(Cheeky Parade)さんを見て、「こういうジャンルもできるんだ!」と思って受けてみようかなと思ったんです。その時は中3だったので、ここで受からんかったらもう終わりやと思って、最後のチャンスのつもりで「これに賭けよう」と思ったのがそのオーディションでした。

樋口:その時はあんまりアイスト知らなかったでしょ?

村上:w-StreetとはTip-Lip(エイベックス・アーティストアカデミー内ユニット)で同じイベントに出ることもあったので、ストリート生のことは多少知ってました。

樋口:あー、そうそう! 大阪京橋のコムズガーデンっていう吹き抜けの広場みたいな会場でイベントがあって、そこに平野(沙羅)と村上がいたんだよね。なんかオシャレなBoAの曲とかやってて(笑)。
w-Street OSAKAはアカデミーの中でもスキルの高い子たちが集結したんですよ。(熊代)珠琳もそうだし、平野もそうだし、南口(奈々)もそうだし……。それぞれがもともとアカデミーでユニットをやってたから、東方神起みたいにスーパースターが集まった感じですごく強かったよね。ストリーーーーーグも最初に優勝したし。それで、3期にそういう期待できるメンバーが集まっているので、GEMを作ろうって話になったの。

村上:えー、そうだったんですね!

樋口:2012年の6月に中野のアイストカーニバルで3期生のお披露目をして、そこからGEMの発表を内々でしたのが11月の運動会の日なので、かなり駆け足だったんですよね。ダンス&ボーカルのグループを作るのに良さそうなメンバーが3期生にたくさん集まってるから、温存するのもったいないぞってことになって、「スーパーアカデミー生」みたいなかたちで全国のアカデミー生の中から精鋭たちを集めて、アイドル界のダンスボーカル最強グループにしようっていう話になったんです。それこそ福岡には森岡(悠)がいたり、名古屋には(武田)舞彩、伊藤(千咲美)、小栗(かこ)がいたので……。最初、スターティングメンバーに選ばれた時どうだった?

村上:結構最後のほうに呼ばれたんですよ。エースって言われてるような舞彩とかが選ばれて、自分は大阪の中でも実力が下で、無理かもしれないって思っていました。なので、選ばれてびっくりしました。でも人数が多くて、それにもびっくりしました(笑)。あ、めっちゃ呼ばれる! と思って(笑)。

樋口:宝石というグループのコンセプトとか、『GEM』っていう名前とかはそこで発表したんですよね。そして、こういう曲をやりますって言って実際にかけたのが『Speed up』。

村上:曲を聴いてまず「かっこいい~」って思いました。自分のやりたいことがまさしくGEMだったので、絶対に残りたいなと感じましたね。

樋口:僕にとっても、自分が体験してきたようなアイドルとはすごく真逆の音楽だから、その引き出しはやっぱり僕からは出てこなかったりもして……。なので、グループのコンセプトとかは自分がある程度作るにしても、そこに付随するアートワークはクリエイターの方に入ってもらったほうがいいと思って、今わーすたでをやっている下村さんに、今までのアイストにない楽曲にしてくださいってお願いしたんですよ。それで出てきたのが『Speed up』。
あと実は、すごく難しい振付にしてくださいってAKIKO先生にお願いしてたんですよ。とにかく難しくしてくれと(笑)。12月にお披露目だったので約1カ月ぐらいの練習期間だったんだけど、たぶん相当苦戦したと思う。

村上:そうですね。ストリート生時代にやってきたことと全然違ったので、今までで一番振り落としがきつかったのが『Speed up』でした。初めてのことばかりだったし、こんなに踊るんかってくらい踊ったし……。あとAKIKOさんも厳しかったです。他のメンバーが「なんでこれ覚えてないの? どうやって覚えてるの?」みたいに言われてるのを見て、「ああやばいやばい」ってなって、今までで一番集中した振り落としでした。

樋口:(笑)。今までってストリート生では割とキラキラというか……。

村上:そうなんです! 今までそんなんしてたのに、いきなりがっつり踊ることになって……。

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その時は、他のメンバーも同じような反応だったんですか?

村上:そうですね、でもダンス経験あるメンバーは負けず嫌いなので、自分は自分でちゃんとやるって感じでした。逆にダンス経験ないメンバーもそこで必死に先生に教わったりしていたので、それぞれ苦戦してたんだと思います。

樋口:お披露目の時のギャップがすごくて、ファンの期待もめちゃくちゃ裏切った状態になってしまって(笑)。僕も当時ずいぶん「え~」って言われましたね。結果、全然それで正解だったんだけど、そういうハレーションというか、「アイストなのに何これ?」みたいなのはありました。

アイドルがダンスミュージックっぽいものをやるってことが、当時は少なかったですからね。

樋口:その振り切り具合がいいと思ってたんですけど、なかなか受け入れられる環境が社内にもなくて、「お前あれで本当に大丈夫?」みたいに言われたけど、そういうのについていける子を選ぶから「絶対に大丈夫」だと。だから、村上本人から「そういう曲をやりたかった」っていうのを今聞くと、なんか良かったなと思えますね。

村上:でも最初は「なんで笑ったらあかんの?」っていうメンバーも結構いて、「私は笑顔でアイドルしたいし、GEMにも残りたいし……」って悩んでるメンバーもいました。個人的にはめっちゃやりたかったことだったので、「なんでみんな受け入れてくれないんやろ?」って気持ちでしたね。

樋口:隠しエピソード的に言うと、登場の仕方とか、ダンスで入ってきたりするじゃない? あれの参考にしたのは初代の東京パフォーマンスドール(TPD)なんですよ。武道館でやってるコンサートの映像があるんだけど、ショーみたいでめちゃくちゃかっこいいの。登場するだけのシーンなのに、ダンスナンバーでやるようなステッキと帽子を使ったりしてて。それをすごい研究したんですよね。

あー、わかります。照明の感じとか。スポットをうまく使っているところとかはなるほどなと、今ちょっと鳥肌立ちました(笑)。

樋口:でもあのかっこよさみたいなのがありつつも、ジャンルとしてはアイドルなんですよ。それで、そこから女優で旅立つ人がいたりもしていて、成功者が生まれているフィールドなので、なおさらそういう風にやりたかったんですよね。今もうないんですけど原宿のRUIDOっていう伝説のライブハウスがあって、そこで定期的にライブをやってたの。20何年も前に。
TPDは歌うパートがないブロックがあるくらいダンスショーだったんだけど、そういうのがピッタリだと思うんだよねGEMって。とはいえアイドルだし、こういう取材を受けさせてもらえるのもアイドルのジャンルでだし、そういうフィールドはいっぱいあるから、そこで実力で一歩抜きん出るっていうのが必要かなと。もう少ししたらGEMのようなグループが他にも出てきて、もっとひしめき合うことが起きるかもしれないね。

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村上:でもなんか、この年代に生まれてきて良かったなってめっちゃ思います(笑)。自分だけがダンスを小さいころからやってても成り立たないじゃないですか。周りも小さいころからやってて、ちょうどこの時期にみんながオーディションを受けて集まって、それが奇跡だなって思います。

樋口:もっとそういうグループ増えたらいいね。GEMに入る時の選抜制みたいなのについてはどう思ってた?

村上:いやー、まず最初にシビアだなと思って(笑)。でも負けず嫌いなので、それがあったから逆に自分的にも燃えたし、そのおかげで成長できたっていうのもあります。「落とすか選ぶかはストリート生のステージバトル『ストリーーーーーグ』で見る」って言われていたので、ストリーーーーーグには全力をかけて取り組んでいましたね。自分の中ではすごくストリーーーーーグは大きくて、MVPみたいに一人ずつ見られたりするコーナーもあったので、頑張れば頑張ったぶん見てもらえて評価してもらえるんだなと思って燃えてました。基本はチームだけど、個人としても頑張らなきゃいけないしって思ってがむしゃらでした。

樋口:それで2013年4月1日のストリーーーーーグの閉会式の時に3人の追加が発表されて、わずか2カ月ちょいしかないんだけど6月に最終メンバー決めますってなって、酷だよね(笑)。

村上:(笑)。普段は苦しいのとかはすぐ忘れちゃうし、あんまり苦しいって感じない人なんですけど、選抜メンバーを決める時期は唯一きつかったです。気持ち的には燃えてるし、頑張ろうという気持ちもあるんですけど、メンバーに入れるのかどうかわからないし、でも頑張るしかないし、みんな仲間やのにライバルに見えるし、今はこの決まってないメンバーでGEMとして頑張らなきゃいけないし……ってとにかくいろんな思いがあって、精神的に一番苦しかったです。

アイストは全グループでそういう試練がありますが、それはあえてなんですか?

樋口:これはアイストっていう組織全体に言えるんですけど、僕はプロデューサーではあるけどあくまでプランナーであって、当然僕の一存で「この子メジャーにしちゃいなよ」みたいなことができるわけじゃないんですよね。やっぱりファンやいろんな人の応援があったうえで、「この子は選ばれて当然だよね」ってみんなに納得してもらう必要がある。そのために濠を固めていかなければならないわけで、それは時に残酷なんだけど、でもデビューしてまさに芸能界の荒波に入っていくわけだから、手法や規模は違えど必然的にどのグループも、訓練を積んで試練を乗り越えてもらうってかたちになっていくのかなと。

村上:でもそういう試練は、私的には嫌じゃないですね。そういうのがあるからこそ燃える派なので(笑)。

樋口:サイヤ人だね(笑)。

村上:だからもっと自分に厳しくなっていけたらいいなと思います。

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TOKYO IDOL NET

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ライブレポートやポートレートを中心に、写真とアイドルをコンセプトに展開するウェブサイト。掲載している写真にはExif情報があり、シャッター速度やISO感度などを確認できるといった特徴がある。ウェブサイトの運営のほか、ジャケット写真の撮影やイベント用写真の撮影、ほかメディアへの写真の提供など、写真を中心にさまざまな活動を行っている。