特集

工藤大輝(Da-iCE)の「ダンスアルティマニア」
~vol.2 フェアリーズ『Mr.Platonic』から見る「振付≠ダンス」~

アイドルとアーティストの境界線。言うならば、それは「見せかた」と「売りかた」が違うだけ。俗に言う「本格派」や「実力派」も作り手側がアイドルと謳えばそれはアイドルになる。アイドルというジャンルだけで実力を決めつけるのはナンセンス。


第2回「フェアリーズ / Mr.Platonic」

まず楽曲がカッコいいんです。なにより。
そしてみなさん可愛いんです。もれなく。

先月(11月18日)リリースされたばかりの新曲ですが、こんなカッコいい曲で、こんなカッコいいパフォーマンスをされたらそれはもう注目せずにはいられません。

フェアリーズさんが所属する事務所の先輩ダンスボーカルグループの方々は男女問わずスキルがとても高いですが、勿論フェアリーズさんもその系譜に沿った実力をしっかりと持っています。6人全員がルックス・歌・ダンスの三拍子を兼ね備え、デビュー前から研鑽し続けたスキルと経験値によって既に殆ど完成系なのにも関わらず伸び代は無限大。未だ発展途上。”妖精”なんて可愛いネーミングとは裏腹に、時代を変える可能性を秘めたモンスターグループになりつつあるんじゃないかと思います。

最近、原宿駅前の竹下口にオープンして話題になっている「原宿駅前ステージ」というライブスペースで撮影された今作のミュージックビデオは、さながらランウェイを歩くモデルのようなカットもありつつ、ダンスシーンもしっかりあって盛りだくさん。カット分割の割合的にもダンスボーカルグループとして鉄板のミュージックビデオ構成ですね。

加えて、この楽曲の振付は全体を通して基礎に裏打ちされたスキルがないと表現しきれない難易度の高いモノになっていますが、難易度を感じさせない程にサラッと踊りこなしているメンバー。まだ若いのにもはや貫禄すら感じます。なんてこった!

さてさて、まずはイントロです。前回のvol.1(<乃木坂46『制服のマネキン』からみる「振付≠ダンス」>)でもイントロについては触れさせて頂きましたが、それ程にイントロとは掴みとしてとても大切な要素であって今回もそれは変わりません。初っ端から振付が本当にカッコいい。スタートから1×8(※用語1)はスローで表情勝負からの移動。その後2カウント目のクラップ音に合わせて首のアクセントが入るのですが、このアクセントによって更に深くMVの世界観に引き込まれます。加えて目線や顔の角度も素晴らしい。

とても細かい話をするとクラップ音「パン」に対して「パ」と「ン」の両方に音ハメ(※用語2)していて、エンカウント(※用語3)よりも更に細い拍を確実に捉えています。
このように緩急をつけた不規則なリズムは観ている人の意識を向けさせるのに効果的です。バスケットボールで言うところのチェンジオブペースですね。振付としては最近よく取り入れられている定番技ですが、揃えて魅せるのは難しい。それをサラリとこなすメンバー、流石です。

そこからのAメロとBメロはビートと歌詞の音ハメを基本に、しなやかさとキレの両方を必要とする難易度の高い振付の連続。更に、合間のカットで差し込まれるランウェイのウォーキングシーンやリップシーン(※用語4)のメンバーが可愛い。可愛いんです。ダンスシーンの鋭い表情と対を成すような柔らかい表情や笑顔のギャップにやられます。

そして、何と言ってもここからのサビ!
今回の最大のポイントはここからです!

この曲自体は完全にカッコいい属性の楽曲ですし、それに加えて全体的に複雑な振付たち。これだけだとキャッチーな要素が無いように思われてしまいがちですが、サビにはボックスステップ(※用語5)と手で顔をくぐるような手振りの組み合わせが計4回も出てきます。4回。前に出ていく発展系の振付と構成移動を含めると5回! これはとても覚えやすい。一番の盛り上がりどころをしっかりとキャッチーにする事によって絶妙なバランスで仕上がっているのではないでしょうか。

また、この繰り返す振付は1番サビと最後サビに入っていて2番サビは全く違う振付になっていますが、これはシングル表題曲振付のセオリーです。例外はありますが、このパターンもしくは全サビ同じ振付で構成違いになる事が殆どです。合計で曲中に約10回も同じ振付が入っていれば誰だって脳裏に刻まれる事は間違いない。しかも、覚えてもらおうという狙いが透けて見えるような振付ではないところが良いですよね。僕はそういうのが大好物です。笑

ちなみに、この記事を書かせてもらう前に独自にリサーチしたんですが、フェアリーズさんは女性人気がとても高かったんです。年上の女性ファンは「カワイイ」と言い、年下の女の子ファンは「カッコいい」と言う。そんな「カッコよくてカワイイ」を若くして併せ持つグループは中々いません。人気の裏にはしっかりとした理由がありますね。

最後に、『Mr.Platonic』だけではなく、カップリングに収録されている『マーガレット』も本当に素晴らしい楽曲です。2000年代初頭のJ-R&B全盛期を思い出させてくれるようなバラード。もはやこのシングル、パッケージとして完全にアイドルと言う領域を超えています。あらためて買いです。

と言う事で、今回はこの辺で終了させていただきます。最後までお付き合い下さってありがとうございました。また次回も楽しみにしていただけると幸いです。

したっけ。

フェアリーズ『Mr.Platonic』
効果的なダンスカットとイメージカットで、セクシーやキュートと様々な表情を垣間見られる超お得なミュージックビデオ。

用語解説
1 1×8:2小節の事
2 音ハメ:カウントではなく歌詞やビートの音をとる事
3 エンカウント:裏拍子の事
4 リップシーン:歌っている表情アップのシーン
5 ボックスステップ:右足と左足を交互に四角を作るように踏むステップ


Edit:石井龍(2.5D)

工藤大輝

工藤大輝

1987年6月28日生まれ。B型。 Da-iCEのリーダー。作詞作曲も手がけるなど、多彩な才能を持つ。 アイドル、ファッション、アニメ好きとしても有名。
Da-iCE
2014年1月メジャーデビュー。工藤大輝、岩岡徹、大野雄大、花村想太、和田颯による、5人組ボーカル&ダンスグループ。1月6日には2nd album「EVERY SEASON」をリリース。そして、2015年11月からは全国TOUR「Da-iCE Live House Tour 2015-2016 -PHASE 4 HELLO-」が開催中。