特集

工藤大輝(Da-iCE)の「ダンスアルティマニア」
~vol.3 東京女子流『鼓動の秘密』から見る「振付≠ダンス」~

アイドルの主な活動と言えば歌とダンスですが、将来に向けて趣味や特技や職業適正を測ることも重要な活動。それらを踏まえた上で「音楽」を突き詰めていく意思があったのならその時点で既にアーティストと呼んでも相違無い。
連載も本格始動からはや3回、ここではグループの名刺とも言えるミュージックビデオをもとに、様々な角度から僕なりの目線で作品における踊りについて解説していきます。


第3回「東京女子流 / 鼓動の秘密」

皆様遅ればせながら、あけましておめでとうございます。
昨年に引き続き書かせていただくことになりまして非常に嬉しく思っております。今年もまた偏りに偏りあげた内容でお送りしていきたいと思っておりますので、どうぞ最後までお付き合い下さい。

さて、2016年一発目は東京女子流さんを選ばせていただきました。僕はアイドルの定義を「複数の可愛い女の子達が歌って踊る」と言うところに置いていて、前回のフェアリーズさんもそうですが、今回の女子流さんも自身でアイドルとは謳っていないんです。2014年末にはアーティスト宣言をしています。

定番となりつつある「アイドルだから」「アーティストだから」という言い争いは、とどのつまり言葉の違いでしかないので、不毛な水掛け論だと思うんです。海外に目を向けると、スパイスガールズやデスティニーズチャイルド、最近で言えばリトルミックスだってアイドルと呼ばれていたり。なので、今回とりあげる女子流さんも日本のジャンルとしてのアイドルではないことを先にお伝えしておきますね。

なにより、東京女子流さんは去年末にリリースしたアルバム『Reflection』が相当コアな方向でまとまっていたので、振り切り方の気合いが違うなぁと感じました。メンバーも作詞に携わったりとしっかり制作に関わってきているところも含めて、チーム全体で音楽を突き詰めようという姿勢がひしひし伝わってきました。この一枚、必聴です。

と、このまま『Reflection』の話をしたいところなんですが、今回のテーマは『鼓動の秘密』とさせていただいているので本題に戻らせていただきます。笑

実は僕が女子流さんのライブを初めて観た時ビビビッっと来たのが『鼓動の秘密』だったんです。今でも鮮明に覚えているのですが、当時女子流さんの事をなにも知らなかった僕はライブを観終わった後すぐにiPhoneを取り出してYouTubeでMVを探していました。衝撃。ダーク過ぎて「これ本当にさっきの子達のMVなのか?」と目を疑ったほどです。

個人的にこういった暗い映像の質感が大好きなのですが、実はこれ、僕が乃木坂さんの映像作品の中で五指に入る程好きな『命は美しい』のMVと通ずるモノがありまして。分かりやすい箇所だと黒い液体とか、やはり好みの世界観はこんなにも似るものかと。

改めて今観直しても相当攻めてるんですよ、この映像。
2016年リリースだったとしても全くおかしくない作品です。

何よりも特筆すべきポイントは音。松井寛さんの生み出す音が本当にカッコ良くて。例えば、Perfumeといえば、中田ヤスタカさん。女子流といえば、松井寛さん。と言い切れる程、切り離せない存在です。昨今流行のファンクミュージックを5年前からしっかり取り入れているんですよ。

さて。ショーケースの中で踊るドール達のような雰囲気で始まる今作、最も注目すべき点は全編通してみえるダンスと撮影技術の融合。これはきっと撮影の時に普段より遅いスピードで曲を流して踊って編集時にそれを早送りして元のBPMに合わせる手法かなと思うんです。これによって4人の動きのカクカク感が増しています。最初の構成でセンター以外の4人がポージングを変えながらクルクル回る部分、かなり不思議に見えますよね? ライブでやる通常スピードでも十分不思議に見えるんですけど。

イントロ以降、Aメロまでは構成移動も無くシンプルな音取りと振付でとても分かりやすい。動きがちゃんと見えて誰がどこにいるのかを把握しやすい素晴らしい振付です。途中ボディウェーブ(※用語1)を通したりもしますが、Aメロ以降もシンプルで直線的な動きが多いです。

Bメロは歌詞を手振りで表現したり、女の子らしい振付でサビへの高揚感を煽ります。ちなみにBメロ終わりフィル(※用語2)の8拍連続ビートでステップを踏みながら移動する部分(踏んでいるのはラスト五拍)がとても可愛いです。タッタッタッタッタってな感じですね。

サビの振付もキャッチー且つ可愛い感じになっていてとても魅力的。手を肩の後ろにやってステップを踏むだけの振付ですが、これ、この当時は可愛いんですけど、現在はメンバーのスキルと纏いはじめた雰囲気が相まってセクシーな振付に変貌しつつあります。魅せ方が進化しているんです。そういう部分が垣間見えるのも楽しみのひとつではないでしょうか。ちなみに2番サビは横一列になって手を隣のメンバーの肩に乗せるパターンに変わりますがこれもまた可愛いです。

その後の間奏もイントロのポジション違いで同じ構成となりますが、このパターンはアウトロにも使われていてかなり印象に残る振付と構成になっています。動き的にはアニメーション(※用語3)と呼ばれるジャンルに近い。

全体を通してみると、途中途中の可愛いらしいガールズヒップホップやジャズを基調とした振付とアニメーションライクな振付とのギャップがとても楽しい作品になっているのではないかと思います。

何年先に聴いたとしても廃れることのない楽曲とメンバーの成長にあわせて洗練される振付けが注目ポイント。去年末にあった小西彩乃さんの卒業も含め、今がちょうどひとつの転換期だとするならば今後4人がどう進化していくのか、今年からまた新しいステージに向かっていく東京女子流さんから目が離せません。

という事で今回はこの辺で終了とさせていただきます。
最後までお付き合い下さってありがとうございました。また次回も楽しみにしていただけると幸いです。そして2016年も何卒よろしくお願いします。

したっけ。

東京女子流『鼓動の秘密』
不思議な映像効果とアニメーションの組み合わせに加えて定番の可愛さも楽しめるバラエティ豊かな振付。

用語解説
1 ボディウェーブ:関節を使い身体を波打つように見せる動き
2 フィル: 小節の繋ぎ目に使われる変化パターン
3 アニメーション:筋肉と関節の使い方で人間らしさを消し、敢えて不自然に見せる動き。


Edit:石井龍(2.5D)

工藤大輝

工藤大輝

1987年6月28日生まれ。B型。 Da-iCEのリーダー。作詞作曲も手がけるなど、多彩な才能を持つ。 アイドル、ファッション、アニメ好きとしても有名。
Da-iCE
2014年1月メジャーデビュー。工藤大輝、岩岡徹、大野雄大、花村想太、和田颯による、5人組ボーカル&ダンスグループ。1月6日には2nd album「EVERY SEASON」をリリース。そして、2015年11月からは全国TOUR「Da-iCE Live House Tour 2015-2016 -PHASE 4 HELLO-」が開催中。