特集

ミリオンドールpresents「オタクの不都合な心境」
~vol.6 TPDの小林晏夕ちゃんが少しずつファンを獲得していった思い出話と、ダンスへの執着の日々~

今日は、グループアイドルの中で自分の強みを探しながら、少しずつ人気を獲得している女の子のご紹介です。


■読モからアイドルへの決意
私は2013年から個人的な思い入れで東京パフォーマンスドール(TPD)の小林晏夕ちゃんを追いかけています。
そのきっかけとしては、TPDの公式サイトがオープンした時の写真の雰囲気で何気なく気になったことと、TPDになる前に読者モデルをしていた経歴が興味を引いたからでした。
私は以前、雑誌の読者モデルと関わることの多い仕事をしていたため、昨今よく見られる読モがアイドルになる風潮には個人的に複雑に思うことが多くありました。
読モが嫌いとかそういうことではなく、読者モデルの子たちとのお仕事を通して、若い女の子が自由に青春を謳歌しながら人気者になっていくことは個人的にもとても好ましく思っていました。
それ故に、読モとアイドルは根本的に存在意義が異なっていると感じていたからです。
多かれ少なかれ大人の作ったイメージや楽曲に自分を寄せていく「与えられたもの、求められたものをこなす能力」が必要なアイドルと比べて、読モは「自分のライフスタイルを自己発信していき、独自性の開拓をする能力」が望まれることが多いです。
TPDとしてデビューが決まった小林晏夕ちゃんも、過去の読モ時代の雑誌を読み返せば読み返すほど、楽しい私生活をブログでまめに更新し、SNSでのファンサービスを手厚く楽しんでいて、雑誌では自分の私服やヘアアレンジ、デコった携帯電話を熱く語っている「自己発信を楽しんでいる子」に私には見えました。
自由に青春を謳歌して人気者になっていた子が、アイドルというベクトルの違う業界に来ることで、自分の独自性を殺したり、与えられたイメージによって悩んでしまうということが容易に想像できるので、なぜか親戚の親のように心配な気持ちになった私は、なぜ彼女がこの業界にきたのか理由を知りたくて、そこから小林晏夕ちゃんとの日々が始まったのでした。

■与えられたイメージと自己発信のジレンマ
東京パフォーマンスドール(TPD)というグループは、90年代に熱狂的な人気を博したグループです。
当然ですが、そのTPDが再結成するということで集まったファンの多くは男性でした。
小林晏夕ちゃんの読モ時代を知っていた同性のファンは結成当初の舞台に訪れることはあまりなく、彼女が今までにあまり接したことのない客層に戸惑いながら、失敗したり試行錯誤したりする様子を現場に行きながら見守っていました。
また、彼女が得意としていたSNSでの自己発信も、事務所の方針により長く禁止されており、自己発信する以外での自分の表現の仕方に苦しんでいたように思います。
TPDはクリエイティブに専門的なチームをつけ、作りこんだイメージを大切にするマネジメントをしているように1ファンからは見えたため、自分自身で個性を発信することが重要な業界にいた彼女は、与えられたイメージの中でどうやって自分を良くしていくのか、初期の頃は努力の方向をずっと探していたように見えました。

■自分を支える完璧主義のダンス
小林晏夕ちゃんを見ていて感じた一番のギャップは、ダンスパフォーマンスの感性の豊かさでした。
幼いころからダンス経験があり自信のある子は、キレの激しいダンスや、振りつけで個性的なニュアンスが出ることが多いと個人的に感じていましたが、小林晏夕ちゃんのダンスは今まであまり見たことのないタイプだと板の上の彼女を見て感じました。
カウントは外さない、体幹と重心は安定している、そういった基礎的な部分はもちろんですが、楽曲の印象を表現するために、むやみにキレを重視せず、指先や全身のシルエットまで完全に制御して美しくみせようと、己を律するパフォーマンスをしているように見受けられました。
それは、過去にしていたモデルの経験をいかして、洋服や体のラインをいかにきれいに見せるかという発想からきているのかもしれません。
TPDの楽曲は、凛々しい女性の心境を歌った曲や、難解な曲、異国情緒な曲が多く、10代の女の子が解釈するのが難しい大人っぽさがありますが、様々なジャンルの楽曲を洋服を着こなすように色とりどりの感性で見せる小林晏夕ちゃんのダンスはとても魅力的で、こういう新たな自分を見つけたくて彼女はこの業界に来たのかなと思えてきました。
思えば初期の頃、うまく自分の長所を出せずにいたとき、その思いをすべてダンスに託すかのように完璧主義なパフォーマンスに執着して頑張っていたのかなと感じます。
当時舞台に行くと、好きなメンバーとメッセージ交換できるうちわのサービスがあったのですが、見返すと毎日「今日は失敗しちゃったから次は完璧を目指すね」「明日はもっと100%をめざします」という現状に満足してない向上心が伺えました。
ちなみに、あんなに完璧で大人っぽい表情をステージ上では見せているのに、その文字はいまどきの女の子らしい顔文字と略字でいっぱいで、そんなギャップに毎回安心したり驚かされたりしていました。

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■少しずつ人気を獲得していく姿
CDのリリースイベントや、握手会、チェキ撮影会などのアイドルらしい活動が増え、ファンとの交流の間で自分を出していけることを見つけてから、晏夕ちゃんは少しずつ表情が明るくなってきました。
縋るように頑張ってきたパフォーマンスが評価されて、ソロ曲やセンター曲も少しずつ増えてきました。
また、本人がずっとやりたいと言っていたSNSでの発信もできるようになりました。
「完璧な自分をあきらめない」ことの粘り強さが、少しずつ個別握手の人数やチェキ撮影の人数を増やしていく姿を見ると、素敵なドラマを見せてもらったようで感慨深いです。
でもまだ彼女の旅はこれで終わりじゃないのです。

■憧れられる人になりたい
『DREAMIN’』のインタビューで彼女が語った夢は、「人に憧れられる存在になりたい」ということでした。
自己発信しながらおしゃれな私生活を発信していた女の子は、今その生活を捨てて、もっと大きな「憧れられる人」という目標に向かってできることを真っ向から挑戦しています。
静岡出身の晏夕ちゃんだけでなく、TPDは地方出身の子が多く、西日本の子が多くいるので九州出身の私としてはすごく親近感を持って応援できるひたむきなグループです。
晏夕ちゃんやTPDのメンバーを見ていると、自分の上京当時の苦しさや切なさ、個人的な思い出が蘇ってきて、きらきらしたものを見ているまぶしい気持ちになります。

TPDは来年2月にZepp DiverCITYにて、グループの本気を掛けて2DAYS・3公演のワンマンライブに挑戦するそうです。

▼東京パフォーマンスドール ダンスサミットネイキッドSP2016 〜R・G・B〜@Zepp DiverCITY TOKYO
【日程・開場/開演】
2月19日(金) 18:15/19:00(RED)
2月20日(土) 12:15/13:00(GREEN)
2月20日(土) 17:45/18:30(BLUE)

もし少しでも興味を持っていただけたら、
地方から出てきたひたむきなTPDのメンバーと、
小林晏夕ちゃんの板の上の魅力を目撃しに行ってみてはいかがでしょうか。

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藍

スマホアプリGANMA!で連載中のWEB漫画家です。現在アイドルオタクを題材にした作品「ミリオンドール」を連載中。現場系でDDなガチヲタです。TOKYO IDOLさんとコラボできてオタクとして大変光栄です。 オタ遍歴:90年代声優→ハロオタ→AKBオタ→DDへ突入/BiS、女子流、KPOP、AeLL.等→新生TPD→Flower