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MMMatsumoto「アイドルを探せ!」
~#0 アイドルを探す!~

時は2015年夏。新学期が始まるように、今年も夏がやって来た。アイドル達の2015年夏は、どんな夏だろう。そんなことを思いながら、この連載を始めることにします。

今現在、アイドルは探さなくても既に居る。それこそ数限りない。一体今どれ程の数のアイドル達が活動中なことか。そう今やアイドルは、“世に出る”最初の手段ともなっている。2006年AKB48が、それまでの“ブラウン管の向こう側に居て、手の届かない存在”だったアイドルというものを、“今すぐ会える存在”に180度転換した時から、それは始まった。以後その数は膨れ上がり、差別化するためにより一層個性を重視するベクトルで広がりながら、遂には既存のアイドル概念を変えるまでに至った。アイドル戦国時代という言葉が踊ったのは、その頃2010年代始めの頃だったか。

仮に、AKB48の大転換を第1期として、ももいろクローバー(Z)を象徴とするアイドル戦国時代を第2期とするならば、今現在は第3期アイドルブームと言えるかもしれない。それは2014年春頃から始まっている。AKB48が指し示したことで、完全に自由を得たアイアイドル環境から、具体的には例えば、でんぱ組.incやBABYMETAL、私立恵比寿中学や東京女子流などが生まれ出て、彼女達が武道館クラス以上の公演を達成。そうして戦国時代を生き抜いたアイドル達が独り立ちした後、それが今、第3期なのだ。

その特徴と言えば、低年齢化と成熟。2014年アイドル現場で先行して起こっていた動きは、小中学生グループの結成・ステージデビューで、それは今も続いている。比較的ダンススクールやモデル事務所のアイドルが多いのも特徴だ。実力とキャスト力。それこそはアイドル転換後の過去数年間で目が肥えざるを得なかったアイドルファン達の、無言の要望だったのかもしれない。今やアイドルは、“かわいい”という最もアイドルらしい根幹の魅力か、表現としての実力、そのどちらか(どちらとも)が前提条件というふうだ。今年に入って、数値上こうしたマスにはまだ表れない動きを捉えるかのように、新規レーベルも続出している。例えば4年前、20人しかお客が居なかったでんぱ組.incが、例えば最初賛否両論だったBABYMETALが、その後今どうなったかを誰もがこの3~4年で知った。だから今まだ無名のアイドル達の中から3~4年後のヒロイン達を描こうとするのは当然のこと。

もう一方は乃木坂46に象徴されるアイドルの成熟だ。低年齢化とは対極ながら同期している動き。フレッシュさが美徳とされるアイドル世界の中で、はたまた外へ、アイドルが今後どう広がっていくか。これはAKB48以後のアイドル達が今後一様に抱える問題でもある。乃木坂46からは今年2015年前半、有名女性ファッション誌に6名ものメンバーが専属モデルとして起用されたが、アイドルの未来図はこうした動きの先にあるはずだ。つまりアイドルというのは、シンガーだったり女優だったりモデルだったりバラエティだったりと様々な活動へと進む土台になっていくかもしれない。

多分その内、アイドルはより一層特別のものじゃなくなっていく。多くの人達も認知はし始めている。かつてフェスが音楽コア層の集まりだったのに今や夏祭りかのような、そんな変化が間違いなく訪れる。誰でも大好き(DD)、誰でもアイドル(DI?)。でも本当にそうだろうか。

アイドルって何なんだろう。一回りして第3期に入った今改めてそれを思うのだ。ダンスを極めれば既にダンサーが居る。歌を極めても既に超絶実力派シンガーは居る。スタイルを磨くにしてもモデルは居る。ではアイドルの、アイドルたるゆえんとは何なのか。と言えば、それは“かわいい”ということに他ならない。この“かわいい”をちゃんと価値として、ダンスや歌やスタイルやファッションセンスと同じ“価値”として認められた地点から、アイドルというものは本当の広がりを見せていくと思ってます。要するに“かわいい”は才能の一種だと。

ということで、この“かわいい”を探したいと思っています。もちろん“かわいい”は多種多様、いろんなタイプの人が居るわけで……。一応の線引きとして、これからの、今注目の、というアイドルさんを毎回1人 or 1グループを取材していきます。お時間ある時に読んでみてください。よろしくお願いします。

MMMatsumoto

MMMatsumoto

MMMatsumotoこと松本昌幸は音楽雑誌MARQUEE(マーキー)の編集長である。音楽雑誌と言いながら8割はアイドルという誌面作りに日々勤しむ。バンド/DJ取材期より非常に現場主義であり、当然ドルヲタ理解度も高い。三次元での2010年代現代アートとはアイドルのことだと思っている超地下からAKBGまでのクソDD。