特集

MMMatsumoto「アイドルを探せ!」
~#4 滝口ひかり(drop)~

さてさて今回も始まりました。明日のアイドル達を探して三千里(今 三千里って言うか?)「アイドルを探せ!」第4回をお送りします。
今回は、女の子達の“かわいい”を分かってベタに自分演出するかのような、まるでアイドルというものをカルチャー化するようなdrop。今人気上昇中のこの3人組から、ファッション誌のモデルにグラビア誌に、最近ではテレビ・バラエティーにも進出する滝口ひかりさんの登場です。
僕が滝口さんに気づいたのはdropのステージにて。なんかやみくもに踊る子が一人いるな、と。その勢いからも気持ちはヤンチャ。と言うよりもスポーツで鍛えた“負けない精神”“チャンスを逃さない姿勢”が今も生きる。でも、とっても家族思い。それが転じてネ申対応。情に深く、その情の在り方が何かアイドルっぽくない。何も飾らず隠さずストレートだから。
来年アイドルが更に認知されていく中で、一般の人達はチェキ会といったアイドル流儀も全然知らなかったりする。もともと普通にアイドル嫌いだったというこの人は、だからアイドルに深いものを感じて本気になった今でも、両サイドの気持ちが分かる。そしてテレビ番組『人生が変わる1分間の深イイ話』でも話題となった家族生活から培われた我慢強さ、つまり抑制とエモーショナルなまでの感情爆発力という両サイド。この人は最初から大きな振れ幅を持つ。彼女からスケール感を感じ取れるのは多分そこからだ。
来るべき時代のアイドルの在り方を問う時に、きっと一般とアイドルファンの橋渡しをするアイドルが必要とされるだろう指標の一人としても期待大。その人、滝口ひかりに、アイドルの事もたっぷり含めて、真っ正面から迫りました。

Photo・Text・Interview:MMMatsumoto

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<バックレようと思ってたくらい「アイドル無理!」だった私が……>

——なぜ滝口さんか。理由は、滝口さんがアイドルっぽくないから(笑)。

アハハハ、マジですか?

——でも一般感覚を持ってるアイドルが影響力を持つ時期が遠くない先に来ますよ。そもそも、なんで滝口さんはアイドルになったんですか?(笑)

正直、最初はなりたくてなったわけじゃないんですね。スカウトされてなんとなく始めたんです。でもやってみたら、すごく楽しくなっちゃった。やっていく内にやりがいとか、今まで持ったことのない責任感も持ち始めて、真剣にやっていきたいと思う自分に気づいたんです。

——以前はアイドルをどう思ってたんですか?

「私には無理だ」って思ってました。テレビに出た時やカメラの前でニコニコ笑って、別にダンスも歌もある程度出来ればよくて、ただぶりっ子というイメージがあったんですよね。

——そのもの一般の人が持ってるイメージですね。

そうなんです。私は本当にアイドルに興味がなかったから。AKBさんやももクロさんは好きだったんですけど、でんぱさんももがちゃんしか知らなかったですね。本当に普通の人だったんで、やっぱ“アイドル”ってなると偏見があったんですよ。だから自分がやるとは思ってもみなかったんですね。でも父に相談したら、「やってもないのに無理って言うのは、お父さんはあんまりよく思わない」って言われて、「じゃあ人生1回しかないし、ちょっとやってみよっかな」って軽い気持ちで始めたんです。無理だったら無理で辞めればいいしって思ってたんですね、やる前は。だけどやってみたら、なんか覚醒しちゃいました。

——スカウトは「アイドルやってみない?」だったんですか?

そうですね。「やってみない?」っていう風にプロデューサーに言われて。

——(マネージャーに向かって)ちょっとお助けを。その時点でプロデューサーの古谷さんはdropを作る構想を持っていたということですか?

マネージャー:dropというよりもアイドルを作ろうとしてました。以前からツインテール協会で撮影をしてるじゃないですか。最初はただモデルとしていろんな子を撮ってたんですけど、途中からアイドルを作る為に通常の撮影プラス、アイドルを探すっていう風になってきたんです。それで最初にみさとと杉野が決まって、2人で少しレッスンを始めてたんですよ。そこから「3人目のメンバーとして滝口ひかりも」という話になり、「全然いいと思うから本人と話してみましょうよ」という流れでした。

——モデルには抵抗なかったんですよね?

撮影はわりと好きだったし、モデルはたまにお仕事させてもらうぐらいで、学校もやりつつ出来るからすごく楽しかったですね。

——でも確か学生時代は芸能関係とは縁無くテニス部だったんですよね?(笑)

そうですね。ずっとスポーツをやってました。だから最初ツインテール協会の写真集のために撮影させていただいた時は、本当に興味なくて。プロデューサーには申し訳ないんですけど、最初の撮影バックレようと思ってたんですよ(一同笑)。なんか怪しくて。急にスカウトされて「ツインテール協会? なんだそれ?」みたいな。それでネットでめっちゃ調べて「まあ大丈夫なのかなぁ」と思って行って撮影したら、「あれ? 撮影って楽しいんだな」って気づいたんですよ。それで写真集が出て、自分を見て、こんなに達成感があって嬉しいものなんだなって気づいたんです。そこで自分は撮影好きなんだなって思いましたね。だからそれ以前は、芸能界には全く興味はなかったですね。

——達成感という点では、例えばテニスの時も味わっていたと思うんですが。

それとは全く違いますね。テニスは勝負じゃないですか。自分が努力しただけ結果として出るけど、写真集は勝負じゃないし、そこには自分が写ってて、自分の顔とか見て「私ってこんな風に写ってるんだ」っていう、自分を見返すことが出来たんですよね。

——あまり写真を撮ったりしてこなかったんですか?

小ちゃい時はよく変な顔とかしてて。だから見返すとかじゃないんですよ。「変な顔してんな〜」とか、あとあんま写真を撮られることが好きじゃなかったし、興味がなかったんですよね。

——でも結果、お父さんの言うとおりで、何事もやってみなきゃ分かんないと。

今はそう思いますね。いろんな事に挑戦して「やってみたら楽しいじゃん」って気づくことがたくさんあるんですね、芸能界に入って。今は父の「やってみなきゃ分かんない」って一言があって本当に良かったと思いますね。

<黒歴史>

——dropを始めてみて、初めてライヴアイドル、地下、現場を知ったと思うんですが、この世界をどう感じましたか?

こんなにアイドルって毎日ライヴをやれる場があるんだって驚きました。“地下アイドル”という言葉だけは知ってたんですけど、「地下アイドルさんって武道館とかさいたまスーパーアリーナで出来ないのにどこでやってんだ?」って思ってたんですよ。だから、自分が今までいかに狭い世界で生きてきたかを知りましたね。

——結構ライヴ現場ってスポ根っぽくないですか? その点多分テニス時代と通じてないですか? ライヴを拝見して滝口さんって超全力だし、やるとなったらやる印象なんですが。

そうですね。一直線になっちゃうんですよね。二つの事が多分同時に出来ないんですよ。最初学校と芸能を両立してて、性格的にどっちも一生懸命やろうとしちゃってたんですよね。でも、課題とかレッスンとか、なんかいろいろわ〜ってなっちゃってダメでしたね、その時期は。何もかもが崩れてってしまって。それで去年、自分の誕生日が終わったぐらいで休学して、それでこっち一本になって、それから一直線ですね。

——1周年ワンマンのMCで、辞めようと思ってた時期があった話をされてたじゃないですか。あの話とっても良かったですよ。滝口さんの話だけ異様にヘビーで(笑)。

マネージャー:そこでそれ言うんだ?って感じだったよね。僕もビックリした(笑)。

でも、それはもう去年の9月か10月くらいに、1周年のライヴがあったら絶対言おうって決めてた事だったんですよ。

——なぜ辞めようと? やっぱ両立が出来ない?

そう。その頃バイトもしてたんですよ。学校と芸能とバイトをやってたら寝る時間もないし、課題も進まないし、レッスン内容も全然覚えられなくて、もう芸能界は無理だって思っちゃって。その時は安定した未来が優先だったんですね、私の中で。資格を取って就職するっていう約束された未来が。だからこの先何が待ってるか分からない芸能界なんて、もう第二優先だったんですよ。「芸能界は辞めてちゃんとしなきゃな」って思ってました。その時、メンバーにもレッスンの先生にもマネージャー、プロデューサーにも迷惑かけてたから、もう辞めようと思いました。

——中途半端が嫌いなんですね?

嫌いなんですよ。だからもうどっちかにしなきゃなっていうのがあって、「学校戻ろう」って思って。

——でも戻らなかった。そのわけとは?

忙しいまま夏休みに入って学校が休みになったんですね。そしたらdrop一本になるじゃないですか。毎日ライヴ、ライヴ、ライヴで、ちょこちょこ撮影や取材が入って、そこでちょっと気づいたんですよね。「もしかしたらこっち一本にしたらすごい楽しいかもしれない」って。

——あれ? 資格はどこいったんですか?(笑)

資格は取りたかったんですけど、それよりもライヴが楽しいと思っちゃう自分がそこにいて。あと、今まで「ぶりっ子が無理」って散々思ってきたんですね。思ってきたけど、あんまぶりっ子してないんですよ、ライヴで。やっぱ無理だから。でも、ファンは飾らない素の自分を受け入れてくれてるんですよね、今も。気が楽になりました。それで去年の8月くらいに、「アイドルも悪くないな」って思い始めて。でも、学校戻らなきゃな〜っていう5:5ぐらいな気持ちのまま夏休みが終わったんですよ。結局ライヴや仕事やレッスンで忙しくて全然学校に行けなくて、完全に仕事一本だったんですね。でも頭の中は「学校どうしよう」「親にもいろいろ言わなきゃいけない」というままで毎日積み重ねていったら、いつからか「芸能界一本でいこう」って決まったんですよね、自分の中で。で、マネージャーに相談して、すぐ休学手続きをしたんです。

——両親はその事に関しては?

何も。その時二十歳だったんですよ。「20歳だし大人だから、お父さんとお母さんは何も口出ししないけど」って分かってくれましたね。「したいようにしな」「ただ、ひかりが決めた道なら家族全員でそれを応援するから」って言われて、「じゃあこっちに集中するから応援よろしくお願いします」みたいな感じで。

——腹を決めてからの活動は、それ以前とはやっぱ違いますか?

全然違いますね。プロデューサーからもこの間、「滝口は1年前とは別人だね」って言われました。辞めるか辞めないかって頭の中でグルグルしてた時期って、私の黒歴史なんです。酷かったんですよ、本当に。もうレッスンも仮病使ってズル休みしたり、メンバーにもメッチャ冷たかったんです。「みんなでご飯行こ」みたいな話になってるのに、レッスン終わったら速攻帰るみたいな。ダンスの先生ともバチバチしてたし、本当にこれをファンの人に知られたらみんな引くんじゃないかっていうぐらい冷たい人間だったんですよ。そこからだから全然変わりましたね。

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<ファン目線からのネ申対応>

——ファン対応はメチャメチャいいですよね。

心掛けてますね。私が結構そうなんですけど、好きなアーティストさんがいるんですね。back numberさんと、阿部真央さん。そのお二方が大好きで、ライヴも行ったんですけど、やっぱりすごい人気なんですよ。メッチャ人がいて。で、やっぱりback numberさんとかも「みんな今日は来てくれてありがとう」「俺も1人1人に対して歌を届けるからね」と言ってくれるんですけど、「ああ、多分私のことは知らないんだろうな」「こんなとこ見えてないんだろうな」って観ながら思うんですよ。それを自分がアイドル側で想像した時に、ファンの人にそう思わせたくないんですね。ちゃんと1人1人見てるよってしたくて。だから名前も覚えたい。来てくれたら絶対覚えたいし、自分の存在を忘れられてるって思わせたくないから、1人1人に合った対応をしますね。

——もともとそういうタイプの人ですか? 例えば、テニスやってる時に、譲る気持ちどころか勝たなきゃいけないから、「私が」という意識が強く必要だし、それこそ一匹狼だと思うんですね。熾烈な中でやってきて結果も数字で出て来ちゃう世界だから。人の為にという世界ではなかったかと思うんですが。

そうなんですよ。まさにそれで、中学の時とか本当に自分勝手な性格だったんですよ。我が強くて。本当に他人を思いやる気持ちが欠けてて。でもやっぱこの仕事をしてから、人の気持ちを分かろうとするようになりましたね。相手が今どう思ってるのか、どうされたら嬉しいのかをちゃんと考えられるようになりました。

——すごく為になってるんですね。

そうなんですよ。この仕事を始めて本当に変わったと思うことが、しゃべり方です。今まで結構クセが強くて、人がちょっとイラッとするような言い方をしてたんです。それが中々直せなくて。だけど、dropを始めてから人と関わる機会が増えてきて、メンバーとも毎日一緒にいるから、「こういうことを言ったら今相手はイラッとするんだろうな」とかって考えながらしゃべったりしてます。

——昔は何か漠然とした不満があったんですかね?

何かあったんですかね? でも、テニスをやってた頃なんですけど、やっぱナメられたくないって思ってたんですかね。テニスってナメられたら終わりなんですよ。ポイント取った時とか、メッチャ雄叫びみたいなの上げたりするんですね。「よっしゃー!」みたいな。それも一種の威嚇だと思うんですよね。その威嚇するクセが、ちょっと抜けなかったのかなって思いますね。

——勝負事の世界に生きてきた青春期があると。アイドルは決して勝ち負けではないとしても、芸能界自体が競争世界ではあるじゃないですか。だから、勝負事には強いんじゃないかと思うんですが、自分で自分のことをどう思いますか?

やっぱり結構「ここで負けたら全てが終わる」という瞬間を何回も体験して来てるから、多分「チャンスは1回しかない」っていう気持ちがあるんですよね、どっかに。

——確かに数少ないチャンスをつかむ力があるかどうかだと思うんですね。アイドルさんの場合は特に受け身でしょ? 自分で曲を書くわけじゃなく、誰かが用意した設定でやっていく基本構造だから、余計に来たものをグイッて引き込む力があるかどうか、それが生き残るかどうかの差だと思うんですね。あともっと大っきいのは運営ですけどね。滝口さんはテニス時代を通じて多分その感覚を養っていると思うんですね。dropは、その点順調な気がしませんか?

まあ、そうですね、順調に今来てるのかなって。それまでが順調だけじゃなかったんですけど、結果今、段々ファンがついて来てくれてるのかなっていうのを感じます。ただ、自分の黒歴史の事とか、ちょっと大変な思いもしてきたからこその今なのかなって思ったりもします。

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<滝口ひかりのアイドル恋愛論>

——自分なりにアイドルってこういうことなのかなって分かってきたことってありますか?

私は、あんまり遠い存在に思わせたくないんです。ファンとアイドルっていう距離はある程度あるけれど、いつまでもファンの1人1人の気持ちを大切に、初心を忘れずにって思うんです。1人1人のことをちゃんと見て接していきたいですね。上には行きたいんですけど、「大っきくなってもきっとたっきーは俺のこと見てくれてる」って思わせたいから。

——武道館に立つぐらいになると、「俺が推さなくても大丈夫だな」という人も出てくると思いますが、その時滝口さんは、その人に対してどう対応しますか?

現実的な話、その頃にはもうチェキ会は出来なくなってると思うんです。握手で精一杯。だから、その時にその人の名前を覚えてたら、やっぱ名前を呼んであげるっていうのが一番だと思うんですね。もしも来てくれない時は、Twitterとかブログでしかないと思うんですよ。そこに自分の今思ってる想いをこまめに出していくしかないと思います。とにかく伝えます。

——滝口さんは珍しく人情味があるタイプのアイドルさんですよね。

そこは自分の強味だと思ってますね。今まで自分は普通の女の子だったから、ファン側の気持ちになれるんですね。自分も好きなアーティストさんがいるからファンの気持ちもすごく分かるし。だからいろんな事をファン心理で考えてます。

——普通の人の感覚からすると、アイドルの世界って異常だと思うんですよ。まず、この疑似恋愛の構造自体がよく理解出来ない。そのことを滝口さんまだ分かってると思うんですが。

分かりますね。正直に言っちゃいますね。私のことを、たまに本気で好きになっちゃう方がいるんですね。それはありがたいんですけど、絶対に付き合えないじゃないですか。それを思うと本当に申し訳ないんです。時々、現実の世界に行って普通に付き合える女の子を探したらいいんじゃないかなっていう風に思っちゃったりもするんです。自分もアイドルに全く興味がなかった時は、「本当何やってんだ馬鹿らしい」っていう風には思ってたけど、でもこの世界に足を踏み入れてみると意外と奥が深くて。いろんな謎も深まるばかりなんですけど、やっぱ「これはこれでやりがいのある事だな」って思うし、ファンもそれを応援してくれてるというか、見に来てくれてるんだなっていう風に思いますね。

——滝口さんにとってはどういう形が一番居心地がいいんですか? ファンの推され方で言うと。

私のファンはガチ恋が多いんです。その分インパクトが強い人が多いんですけど、別にそれはアイドルとファンであればガチ恋でもいいのかなって。全然それは自分も安心出来るし、「応援してくれてるんだな」って、より気持ちを恩返ししたくなるし、それはそれでいいのかなっていう風には思いますね。

——ガチ恋の人達の推しが強くて、逆に自分の無力感を感じたことってありますか?

本当にこんなに毎回遠征も来てくれて自分の為に尽くしてくれるのに、私はこのチェキ会の1分とかで何を返せてるんだろう?って毎回思ってます。そんな事じゃ絶対相手は喜んでくれないよとか思いますね。こんな短い時間でライヴも30分とか観て、こんなに自分にお金をかけてくれてるのにって。そう思う時に無力さを感じますね。どうしたら本当にみんなに喜んでもらえるんだろう?っていうのは常に考えてます。

——そういう言葉を聞ければファンは安心しますよ。

そうなんですよ〜、みんな優しいから、「その言葉を聞けただけで良かったよ」とか言ってくれるけど、でも実際人間て欲があるから、自分だけに向けられた言葉とか物が欲しいんですよ。それを私があげることが出来ないから、どうしようって思っちゃうんですよね。そこで悩む時があります。

——実際そうですよね。でもそういう発言をちゃんと言える、誤摩化さない、それがアイドル滝口ひかりというか、アイドルより女優さんや舞台に向きなのかな? というか、滝口さんてすごい現実的ですよね(笑)。

はい、現実しか考えてない(笑)。まず、アイドルさんは「笑顔と夢をみんなに届けるー」みたいなのあるじゃないですか。確かに私達を見て笑顔になる人もいるし、癒されてる人もいると思うんですが、やっぱなんかそれだけじゃアバウトすぎる。「じゃあ、その夢や笑顔を届ける為にあなたは何をするの?」って思っちゃうんですよ。そのことに関してモヤッとした回答のアイドルさんが多いと思うんですけど、私はそうじゃなくて、アイドルに興味なかった側だから、もっとアイドルの素を知ってほしいって思っちゃって、一般の人にも「アイドルってこうなんだ」「意外とこう思ってんだ」っていうのを分かってもらえるように、キャラを作らないことを心掛けてます。

——実際の自分も全部込みでアイドル。そういう風に見てほしいと。

はい。全部見てもらって、それで「dropダメだな」も「dropいいじゃん」もアリというか。良ければ「じゃあ来て」ってなるから、どんどん私達3人の素を出していって分かってもらえたらなって思ってますね。

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<素で自分を出していくことのルーツ>

——テレビを拝見して、家族で2部屋ということですが、プライベートの無さが今の自分に何か影響してると思いますか?

それは絶対あると思います。やっぱり昔から自分だけの空間がなかったので、家族に全部を見せるしかないんですよ。悲しい時は隠れて泣けないから、目の前で泣いちゃうし。本当何かあった時は全部顔に出て、それが家族にバレるっていう環境だったから、全部を出すっていうことに抵抗がないんですよ。それは他人に対しても。

——ステージを拝見していてもそれは思います。振り切ってるから、わーってオーラが来る。とは言いつつ、中学高校の時には不自由もあったかと思うんですよ。マイナス面は感じませんか?

全然無いんですよね。それが自分のお家の当たり前だったから、プライベートが無いことを特に不思議に思ったりもしなかったし。確かに自分の部屋が欲しいと思ったことはありますよ。『深イイ話』に出させていただいてた時この話をしたんですけど、中学生の頃お母さんに「なんで自分の部屋が無いの?」「なんでこんな狭い部屋に6人で住んでんの?」って聞いたことがあるんですね。そしたらお母さんが、「ごめん、うちにはお金が無いから」って。そう言われた時に、多分普通の中学生だったら「じゃあもっと働けよ!」とか酷いことも言うと思うんですよ。でも当時の私は、親にそんなことを言わせてしまったっていう気持ちが強くて。だから、もう絶対にそんなことを親に言わせたくないと思った(涙ぐむ)。それ以降親には1回も言ってないですね。確かに思春期の頃少しだけ我慢をして過ごしてきたっていうのはあります。

——反抗期もあまりなかったですか?

そんなに目立っては無かったと思う。機嫌が悪い時に八つ当たりしちゃったりくらいかな。父が反抗期が嫌いというか。反抗期は誰もが通っていく道だからしょうがないけど、今の親って「うちの子供、今反抗期だから」って諦める人が多いじゃないですか。でもうちの親は、それを怒るのが仕事だろ、分かってるけど怒らなきゃという感じで、私が八つ当たりした時はすっごい怒ったりしてきたんですけど、その程度でしたね。私も「うるせー!」とか「クソオヤジ!」とか、そういうことは言ってないです(笑)。

——知らず知らずの内に我慢するクセが付いてますかね?

あるかもしれないです。私は4人兄弟の一番上で、我慢は結構昔からしてきたから、我慢強いところはあると思います。

——滝口さんのダンスを見てると、もし我慢することを思春期に覚えてなかったら、結構暴走してたタイプかもなぁって(笑)。結構な勢いがありますからね。

あ〜でも、私思うんですよ。本当あの家に住んでなかったら、多分今この活動もやれてないんですよ。なんか多分なんですけど、間違った道に行ってましたね。非行に走ってたと思います。

——なんか酒飲みまくってるイメージがある(笑)。

そうなんですよ。メッチャ飲みまくってヤンキーの友達と遊んで、みたいな未来がちょっと見えました。

——え!? 見えたんですか?(笑)。

<具体的家族の肖像>

——テレビで拝見する限り、お父さんの男気な感じが印象的で、それでいてお母さんがガーリー。ご両親のバランス感は影響大きそうだなって思いました。

大っきいですね。父親がもう亭主関白じゃないですけど全てを決める。で、母親はそれに全て従ってついていくっていう感じなんで。今だと多分珍しいと思います。でも、時々お母さんがメッチャ私達に怒って、お父さんが「そんな怒ることないじゃんよ」ってなだめることもあるんですね。それもいいのかなって思います。

——お母さんのガーリー感も影響大きそう、と言うか失礼ですけど、お母さん若い時はかなりカワイイ感じだったかと思うんですが。

すごい可愛かったんですよ! 昔の写真を見たんですけど。ああ、これはお父さんも惚れるなって思いましたね(笑)。

——それこそアイドルみたいな?(笑)

本当にアイドルになれる顔はしてたと思います、お母さんは。私はお父さん似なんですけどね(笑)。

——なんとなくお母さんの理解が大きい気がします、今の滝口さんの活動に対して。

そうですね。お母さんはなんでも許してくれるし応援してくれますね。

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<dropは私の中心。その先にある未来>

——最近の滝口さんは、drop以外の仕事も増えてます。テレビもだし、雑誌も出まくってる。先々dropの活動に支障が出る時も来るかもしれない。でも現時点でdropはまだ武道館じゃない。なのに滝口さん個人は先にどんどん露出してる。このまま進む将来に対してどう思ってますか?

あ〜 完全にリアルな話ですね。これもリアルに言うと、みんな多分dropの滝口ひかりだから今推してくれてるんですよね。dropっていうブランドがあるから、私は今こうして出させてもらってると思ってます。“2000年に1人の美少女”っていうよく分かんないキャッチコピーがあるんですけど、多分これも普通にタレントとかだったら、ふ〜んって感じだと思うんです。そこで、アイドルをやってる。「あれ? 滝口ひかりってアイドルなの?」って。それでライヴに来たという人も実際結構いるんですね。だからdrop、アイドルにはブランド力があって、そのお陰で今私はこうして活動できていると思ってるんです。

——でも、それも時間の問題かも。タレント・芸能人 滝口ひかりが一人歩きして成立してしまう可能性だってあるかもしれない。その時、dropはどうなるのかなんですが。

タレントで成功したとしても、私の居場所はdropなんで。だったらそれを最大限に利用して、dropに引き込みたいと思います。「全部来な!」「オマエら全員武道館連れてってやるから!」って思いますね(笑)。

——その男気な感じは、dropの中での滝口さんの役割も示してますね?

「引っ張って行く」とは勝手に思ってますね。(他メン)2人がどう思ってるかは別として、私が今実際のところで引っ張って行く立場だと思うんですね。私がやんなきゃって思っちゃうんですよ。ファンの気持ちに応えたいんです。実際ファンの気持ちがあるから頑張れるんですよね。みんな武道館に連れて行くって約束したし、みんなで頑張って行きたいし、私は最終的にみんなで笑いたいから。

——意地悪な聞き方だけど、なぜそれがdropじゃなきゃいけないかなんですが。

私は多分、三嵜みさとと杉野静香と大場はるかがすごい好きなんですよね。その子達が好きだからdropじゃなきゃいけないんです。

——それを言われると返す言葉がないんですけどね(笑)。

すいません(笑)。もし私が他のアイドルグループだったら、そこのメンバーを好きになっていたと思うんですね。「私達はそれが運命だったんだよ」って。そのメンバーが現実的に三嵜みさとや大場はるかだったんです。本当にこの子達に出会えて良かったなって思うから。情が入っちゃうんですよ。人を好きになっちゃうから辞められないんですよね。

——でもね、人には出会いがある。長い人生の中これからも。新しくてすごく魅力的な出会いがあれば、そこに情が移る可能性もあると思うんですよ。そうしてdropとも出会ったんだろうから、またいつどこで別の誰かが現れるかは分からないわけですよ。

そうですね。まあ先に何があるか分からないですけど、今この人達と出会って、今この人達が大切だから、じゃあこの人達を全力で大切にするっていう感じですね。今が大事ですね。先とか後よりも。

——わかりました。中々珍しいインタビューでした。ミュージシャンとインタビューしてる感じで。

本当ですか? でも私はあんまり自分を作らないから。作らないことで私やdropの事もアイドルというものも、一般の人に分かっていただければと思うんです。

プロフィール
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日本ツインテール協会から誕生したアイドルユニット、≪drop≫。
全国で数百人もの美少女を撮りおろし、日本一美少女に精通する協会と称される【日本ツインテール協会】が満を持してアイドルのプロデュースに進出。『脳を焼くアイドル』をキャッチフレーズに、一度聴いたらリフレインしてしまうアイドルソングを発信します。
MMMatsumoto

MMMatsumoto

MMMatsumotoこと松本昌幸は音楽雑誌MARQUEE(マーキー)の編集長である。音楽雑誌と言いながら8割はアイドルという誌面作りに日々勤しむ。バンド/DJ取材期より非常に現場主義であり、当然ドルヲタ理解度も高い。三次元での2010年代現代アートとはアイドルのことだと思っている超地下からAKBGまでのクソDD。