特集

MMMatsumoto「アイドルを探せ!」
~#5 三品瑠香(わーすた)~

月一度の気紛れ、毎度の「アイドルを探せ!」の始まり始まりです。今回はアイドル界で起こっている快現象について、ご報告です。
第三期アイドルブームが今年夏でハッキリしたかと思います。乃木坂陣営から欅坂46、ハロプロからこぶしファクトリー、スタダにはばってん少女隊も加わり、ライジングからは10年前のAKB劇場の更新とも言うべき原宿駅前ステージがオープンし、原駅ステージAやふわふわを筆頭にデビュー、そしてiDOL Streetから今年結成されたのが今回のキャスト 三品瑠香さんのいるわーすた。2014年春頃からモデル事務所orダンススクールからレベルアップした形で出始めた次世代(このコラムのVOL.0参照)が、遂に大手事務所が本命を出すことでほぼ準備完了となったのが今年。夏にその試運転を始めた、後は2016年の展開を待つばかり、というのがザッとの流れかと。
さて、話題を今日の本題に移します。今年3/29、avexのアイドル専用レーベルiDOL Streetから、SUPER GiRLS、Cheeky Parade、GEMに続いて結成されたわーすた。全国各地で活動するストリート生から選抜された、アイストには珍しい少数精鋭の5人組で、SNS活用、スマホのみライヴ中の撮影OK等、活動の仕方自体からして今のリアルアイドルの時代らしいフランクさだ。曲もシティ感覚のちょっぴり大人っぽい洗練されたものから、家族の温かさを伝えるバラード、ポーズもベタかわいい王道アイドルソングまで多岐に渡って、どれも楽曲クオリティは高く、ポップなのに何か染み入る感じがあって全然飽きない。
そして、わーすたの特徴と言えば、何と言ってもツインヴォーカル。ダンスの積み上げは言うに及ばず、この真逆なタイプ2人の組み合わせには、とにかく注目したい。その2人とは安定感ある廣川奈々聖の歌声と、個性的な三品瑠香の歌声。2人の歌声で1曲が歌い分けられ、曲の中に物語やシーンが生まれる程で、まさに歌い紡ぐ。現アイドル界でも貴重な存在、在り方だ。
で、その三品瑠香さんを掘り下げます。とにかく、癖なのかこの人の歌は微妙にズレる。わーすた曲のメロディラインが難易度高いからとしても、絶対注目なのはそのズレが絶妙に個性となっていること。それは70年代までの洋楽によくあった個性派ヴォーカリスト達のそれに似ている。素な歌声で多少気怠く少し不安定感があってそれが味になっている個性派タイプ。このいうのが今本当に無い。この画一化されていない個性というものが、行動や在り方ではなく歌という正統なフェイズで発揮されているのが、とにかくレア。個人的にすぐ思い出すのが、80年代の本田美奈子さんの歌。是非、三品さんの歌う「1986年のマリリン」が聴いてみたい、というのは僕の願望です。
アイドルの世界で、歌とダンスは重要視されるわりに、ミュージシャンやダンサーの世界程、中身内容を問われない。それだけに個性的であることが“かわいい”上でもっと発揮されていいと思っていたこともあり完璧ツボです。今回はその三品さんの謎? に迫ります。

Photo・Text・Interview:MMMatsumoto

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<ダンス、ダンス、ダンス>

——恒例の質問です。好きな男の子のタイプは?

えぇ〜〜。なんだろう……一緒にいて楽しい人とか? 話しやすい人かなぁ。人と話すのあんまり得意じゃないので。「この人、話せる」と思ったら、どんどん話題が出てくるんですけど、あんまりその人のことを分かってなかったり難しい人だと、話が続かなかったり、話す勇気が出なくて話し出せなかったりします。人見知りだから。

——それは昔から?

昔からですね。でも小学校低学年頃は全然フレンドリーでした。ダンスをやってて、その時は年上の人達が多くて優しくされてたから喋れたんだと思います。

——ダンスはいつ頃からやってるんですか?

年中さんくらいで始めて。でも、ちゃんとしたスタジオでしっかり始めたのは、小学校1〜2年生くらい。元々お母さんもやってたんですよ。それでイベントとか行ったりしてる内に自分も始めたくなって。それ以来、平日も毎日通って、自分にはダンスしかないと思ってました。

——どんなところが特に楽しかったんですか?

いろんなスタジオがあって先生も踊り方も様々なんですよ。それをレッスンするのが楽しくて。

——もしかして優等生だったのでは?

(笑)。レッスンって列があるじゃないですか。なんか、自分はここで踊るみたいな。それは、ずっと前の方で踊ってましたよ(笑)。優秀というより、踊りたい! みたいな(笑)。

——ガンガン踊ってましたか?

踊ってました!

——もともと運動好きなんですね?

運動は全然得意じゃないんです。走るの速そうとか言われるんですけど、めっちゃ遅いですし、球技も全然できなくて、ハンドボール投げとかめっちゃ苦手です。10メートルも飛ばない(笑)。

——でも、音楽が鳴ると裏でリズムを取ってしまうとか?

(笑)。取れますね。曲に合わせて踊るのが楽しいです。お店とか行って流れてたりすると踊ったりして。曲の中に取るリズムがいろいろあるほうが楽しいですね。曲があるならダンスもあるという感じです。

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<歌、下手すぎて呆れられましたもん(笑)>

——わーすたのような日本語歌詞があるJ-POPな感じは大丈夫なんですか?

いや、普段も日本のアーティストさんの歌をよく聴きますよ。でもダンスレッスンに通ってた頃は、自分が歌うとは思ってなかったんですね。歌は、カラオケで歌いたい時に歌うものくらいにしか考えてなかったので。

——その頃から、今みたいな歌い方だったんですか?

いや、めっちゃ下手でしたよ! すっごい下手って言われてて(笑)。オーディションを受けるとなって、カラオケに練習しに行った時、下手すぎて呆れられましたもん(笑)。だから今はだいぶ歌えるようになってきたね、歌らしくなってきたねって言われます。前が下手すぎたせいで(笑)。

——僕は、オープニングSEがあって『Doki Doki♡today』→『ちいさな ちいさな』に行く感じが好きなんですが、一番のハイライトは『Doki Doki♡today』の、三品さんが歌い出す所なんですよ。

「I love you」ですか?

——そうです。

「I love you〜♪」って、音を三つ取るじゃないですか。レコーディングの時に、あれが取れなくて何回も録り直してもらったんです。最近ようやく取れてきました。

——でもその微妙な感じがすごい好きで。歌は相当練習してるんですか?

練習するといっても練習になってるのかな? 歌って録音して聴いて、ここ直したいと思ったら、そこだけを練習したりしてるんですけど。ダンスの振り落としとかだったら結構早く覚えられたりするんですけど、歌が全然。「あぁ〜」ってなります。レコーディング直前とか、めっちゃ必死ですよ(笑)。

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<現アイドルには珍しい個性派ヴォーカリストの三品さん>

——一緒に歌ってる廣川さんの歌はどう思いますか?

ライヴでも安定してるなって思います。だから、すごい尊敬してます。

——わーすたはひとつの曲を2人で歌い分けて、しかも声質もタイプも全然違うから、やっぱり2人で歌について話し合ったりも?

あんまり話さないですね。自分の事で精いっぱいなんです。自分の中で、ここはこうやって歌うって決めて歌ってるので気にしないですね。マイペースなんです(笑)。

——みんなでステージの事を話したりしないんですか?

リハで決めてた事ができなかったりとか、振りが合ってなかったとか、立ち位置がどうだったとか、そういう反省は全員でするんですけど、自分のスキルの話はしないです。多分お互い、人のことを言える立場じゃないっていうか(笑)。全員にそういうところがあると思います。

——確かに歌は個人のことだから、言ってもしょうがない部分はあるかもしれない。

そうなんですよね。ダンスだったら、その場で、そこ違うよとか、こうした方がいいよって一緒に直したりできるけど、歌は……自分のことですもんね。

——三品さん、その声質は問題あるよとか言われてもね(笑)、困りますよね(笑)

こういう声なんです(笑)って。

——自分の声については?

なんか、結構低めに歌いたいみたいなところがあるんです。うまく響かせて歌えてるっていうのが、自分的に結構低めの声なんです。綺麗に行く時もあって、聴いてていい声でその音程を「あ、通るな」ってなった時が、その声なんです。ストリート生の時、歌っててそれに気づいたんです。でもアイドルを始めて最初歌った時は、声めっちゃ高かったんですよ。でも歌声が好きって言ってくださる方もいて、ありがたいです。

——それで、歌い方に特徴があると思ってるんです。わりと投げやりな歌い方をする人だと思ってまして、語尾や言葉の終わり方が、いい加減だなって(笑)。

ハハハ! それ、直したいところなんです(笑)。

——そうなの? 僕は、それがすっごくいいと思ってるんですが。

お母さんによく語尾が雑って言われます(笑)。

——そうなんだ〜、あれがいいのに。個性そのもので。投げっ放しにするところに、三品さんの性格も感じ取れるとまで思ってるんですけどね。例えば、どっちかを選んでって言われた時、最後どっちでもいいやみたいになったりする人ですか?

あぁ〜、あります。どっちか悩むのはどっちも食べたいから、どっちを食べてもいいやみたいな感じですね(笑)。

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<個性派ヴォーカルのルーツ?>

——その個性的な歌声のルーツを知りたくて。小さい頃どう育ったのかなとか。

周りの環境は良かったです。ダンススクールで年上ばっかりだったこともあって、自分から話しかけなくても仲良くしてくれる人がたくさんいて。だから、自分から話さなきゃいけないっていうことがあんまりなかったし、喋るのが得意じゃなかった。

——学校生活では?

学校だと自分から友達を作りにいかなきゃいけないじゃないですか。だから、声かけやすい近くの子から徐々に。友達の友達とかにだんだん繋がりを持っていくという作り方をしてました。でも、あんまり広げなかったですね。

——メンバー全員言ってた気がするけど、三品さんはクラスにいたら中心にいる女の子だって。

多分そうですね。友達といると喋ってる人だと思います。静かなのはあんまり好きじゃないんで。小学校の時がめっちゃ積極的でした。学級代表とか指揮者もやってて。前に出るのが好きだったのかもしれない。

——スクールでも最前列にいたように。結構グイグイと。

そうですね。でも、あんまり自分から喋りにいこうと思わないです。学級代表や指揮者をやればみんなと関わることも増えるから、それで友達もいたのかもしれません。

——立候補したんですよね?

しましたね(笑)。(中学)1年生の時に、指揮者やってみたらと言われたのがきっかけで、そこから毎年、自分から立候補するようになって。自分の指揮で、歌が出来るってことが楽しかったです。みんなが合わせて一緒に歌ってくれるところが。

——潜在的にセンター意識もあるんでしょうね。でも相変わらず喋るのは苦手(笑)。

ライヴだと、決まった事を見せるじゃないですか。でも喋るのだと、自分が考えた言葉を言ったり答えたりしなきゃいけないのが多分苦手なんです。なんも考えずに生きてるんで(笑)。それが、言葉とか文章考えるのが苦手なのに繋がってるんです多分。

——でもわーすたがWorld Standardになればなる程、MCも必要になる。

そうなんですよ(笑)。今なっちゅん(廣川奈々聖)がすごく喋ってくれてるんですけど、私はたまに振られると「おぉ」って、そわそわするんです(笑)。なっちゅんを手伝わなきゃっていう思いもあるんですけど、喋り出す勇気がなくて。ちょっと頑張ります。

<わーすたの私>

——わーすたは今年夏、次々とアイドル横丁やTIFに進出したわけですが、その頃どう感じてました?

「あ、アイドルだ」っていう感じでした。最初はわけわかんなかったですね。もともとが自分が芸能関係に進むとも全然思ってなかったので。アカデミーに通ってて、オーディションを受けさせてもらった感じだったから、急に「自分が、こんな事してる」って思ったくらいで(笑)。テレビに出てる人やアーティストさんになってみたいという夢は、あったにはあったんですけど。なんか、自分に自信がないんで、前に出てることが不思議です。周りのアイドルさんを見てると、もっと自信がなくなって。歌かな……原因の一番は。あと、自分は前に出ていいのかな、みたいな。

——でも横丁もTIFも、出たら出たで、人がわーっとなって嬉しいじゃないですか?

それが今、頑張れてる元ですね。見てくださってる方がいるから、今頑張れてるし。「そうなんだ」って思って安心して頑張れる。

——アイドル志望ではなかったんですよね?

なかったです。でも人に見てもらって、応援してくれる方がいて、活動できてるっていうのが多分アイドルですよね(笑)。

——つまり今の姿。わーすたで一層注目を浴びて、責任感も出てきましたか?

そうですね。たくさんの人が見てくれて期待もしてくださるからこそ、うまくやっていきたいです。昔は自分が楽しければよかったけど、今は責任を感じるし、もっと成長していかなきゃなって思ってます。

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<これからの中3>

——今、中3? 学校は行けてますか?

行ける時は行ってます。学校は好きなんで。自分は今こうして活動をしているので学校では静かに居たいんです。だから、学校で前に出るのはあんまり……普通に居てもなんか言われたりするんで。

——学校好きなんですね。

大好きです。行けるのもあと4ヶ月くらいなんです。だから、結構先の事を考えると、一生の内に1年しかそのクラスのメンバーで居ることがないって思うと、後悔したくないし、楽しみたいなと思うんです。嫌な事があっても、それもひとつの思い出だしって考えてます。

——すっごい大人ですね(笑)。

今までは考えてなかったんですけど、この活動をしてて、なんか普段の事も考えるようになったんです。人生で、学校に通う時間の方が短いじゃないですか。だから、その時間を大切にしたいなと思って。

——何かきっかけがありましたか?

1年の時、体育祭に出れなかったんですよ。1年の中でも行事って何回もあるわけじゃないから。今みんな同じ場所にはいるけど、もうじき違う学校に行って、会う機会がなくなっちゃうって思うと寂しいです。

——わーすたを通じて、同じ仕事をしている同世代の子との繋がりもどんどんできてくると思うけど。

そうですね。最近、アイドルの友達がちょっとだけ増えました。

——わーすたは始まったばかりだし、夢があるっていうか、明るい人生だなって自分で思いませんか?

そうですね。いろんな所に出させてもらったり、たくさんの方がわーすたの事を知ってるっていうのを聞くこともあるので、嬉しいです。

——今わーすたは関係者の間でも注目度高いですよ。

え〜本当ですか!

——って聞いても、プレッシャーに感じないでしょ?

嬉しいです(笑)。プレッシャーにはならないですね。あんまり何も考えてないふうになっちゃうのが、良くないなって思ってるんですけど、プレッシャーを感じると多分頑張れないと思う。そんなにひどく言われることもないんで、メンタル的に今は全然大丈夫なんですけど。だから、自分の受け止め方ですかね。なんかしなきゃなって、しっかり考えちゃうと、絶対頑張れなくなっちゃう。負けず嫌いなところもあるんですけど、でも逆に、やる気が無くなっちゃったり、もういいやってなっちゃうところもあるんで。

——三品さんは、きゃぴきゃぴしたイメージが似合ってると思うんですよね。わーすたには、隅々までキッチリ輪郭が描ける廣川さんがいるから。だから三品さんと廣川さんのツインボーカルってすごく面白いと思ってるんですね。

え〜(笑)。嬉しいですでも。人を見習わなきゃいけないところもあるけど、でも人は人だし、それよりも自分らしさを出したいって考えてます。自分らしさのある人が好きだったりします。大事ですね、個性。

——ということで三品さんのタイプは個性のある人でもあると。来年は、どんな感じですか?

わーすたも半年以上経って、とりあえずはグループとしてしっかりしてきて、たくさんイベントにも出させていただいたんで、次は自分達のカラーをもっと広げられるようになりたいです。来年4月でもう2年目に入るから、もっと大きくなっていきたいです。

プロフィール
dic_wasta-680x453わーすた(The World Standard)
avexアイドル専門レーベル「iDOL Street」第4弾アイドルグループ。2015年3月29日結成。世界に照準を合わせ活動する、デジタルネイティブ世代アイドル。SNSとリアルアイドル活動を通じて世界にKAWAIIジャパンアイドルカルチャーを発信します。
MMMatsumoto

MMMatsumoto

MMMatsumotoこと松本昌幸は音楽雑誌MARQUEE(マーキー)の編集長である。音楽雑誌と言いながら8割はアイドルという誌面作りに日々勤しむ。バンド/DJ取材期より非常に現場主義であり、当然ドルヲタ理解度も高い。三次元での2010年代現代アートとはアイドルのことだと思っている超地下からAKBGまでのクソDD。