特集

MMMatsumoto「アイドルを探せ!」
~#6 YUKINO(La PomPon)~

第三期アイドルブーム ブレイク前夜ということで、いよいよ今年2015年は各社・各運営ともその試運転が夏を中心に始まった。来年から新勢力が台頭するかと思います。ということで、今回はその一角でもあるダンス&ヴォーカルグループ La PomPonさんからリーダーYUKINOさんの登場です。
とにかく! YUKINOさんのダンスが凄い! すぐにLa PomPonさんのライヴを観に行ってください。すぐ分かりますので。17歳にしてこの曲のノリ方、瞬発力、何より表現力は半端ない。見た目が大人っぽいので最初観た時、どこかでダンスの先生もやっている人なんだろうかとさえ思った。そういう体の動きや表情。と言うか、気持ちで身体が弾んでいる感じ? 強烈にストイックな所から立ち起こされているのは間違いないのに、とにかく自由。その解放されてる動きが観ていてホント心地好くて。グルーヴがあるんですよね。しかも(当然?)表情豊か。伝えようとする気持ちに溢れてもいる。
La PomPonは歌の老舗ビーイングがプロデュースする初のガールズグループなだけあって、曲がメロディックだ。だから歌メロ重視。だけれどもダンスがこのYUKINOさんを筆頭に鍛え上げられてもいる。約2年間の準備を経てのデビューだっただけに、完成度のあるステージも観せてくれます。
今回は、そんなYUKINOさんのダンス歴を追う形で、この人のパーソナルな部分まで踏み込みます。ダンスに対する考え方をより具体的に知りたく、チアドラゴンとWREIKO SISTERSという2つのライヴ映像もサンプルとして事前に観ていただきました。そして後半は、ダンスをキーワードにかなり深い話を対話形式でさせていただいています。その中には多少なりとも応用できる話もあるかもしれません。
今年始めさせていただいたこのコラムも初の年越しとなり、読んでいただいた方々、関係者、ご出演していただいたアイドルさん達に、とりあえずありがとうをお伝えして、正月は是非、引き続き今回のコラムをじっくり読んでいただけると嬉しいです。

Photo・Text・Interview:MMMatsumoto

clm_mmmatsumoto6_1

<憧れ>

——もともとこういう世界には憧れがあった人なんですか?

そうですね。中学生の頃、三浦大知さんのステージを観て、こういうアーティストさんになりたいなって思いました。

——特に惹かれたところと言うと?

最初にガツンと響いたのはやっぱり歌でした。それと同時にレベルの高いダンス。そのマッチングも、バックダンサーさん達との一体感もすごくて。一人でやられてるのに、そこまで詰めてくるかっていうところに特に惹かれました。

——その時もうダンスは始めてたんですか?

はい。中学生の頃で、ダンス自体は小学校1年生から地元のダンススクールでやってました。

——そのきっかけというと?

お母さんから「近くでダンスやってるけど体験入学してみない?」と誘われて、行ってみたらすごく楽しくて。それ以来、少し水泳をやった以外は、もうダンス一本で来ていますね。

<小学生時代>

——小学校の頃のYUKINOさんは、どんな人だったんですか?

結構おてんばでした(笑)。外遊びが多くて。だから人形とかあんまり持ってなかったですね。でも、おてんばなんですけど、すごく人見知りでもあって、それは今も変わってないんです。

——でも活発な人ではあったと。

はい。気にせず真っ黒に焼けて、みたいな。わりと男女関係なく付き合う感じで、小さい頃は友達と小ちゃいプールを自宅の庭に出して一緒に遊んだり、芝生に水を流して、そこにスライダーでザーッみたいな。自然も大好きでした。

——アウトドアもOKな人だったんですね?

はい。以前おばあちゃん家が秩父にあって、その近くの長瀞の川でよく泳いでました。岩から飛び込んだりしながら。溺れそうになった事も何回かありましたよ。

——えー(笑)。じゃあ紅葉とか水の透明な感じとかも好きなんですね?

癒されます。出身が茨城で、遊ぶ場所もショッピングセンターくらいしかなかったんですよ。それで海も友達の家から1分位だったから、プライベートビーチみたいになってて、よく遊びに行ってました。ダンスレッスンがない日は、そうして友達と会って遊んでましたね。

——そういうある日ある時お母さんがダンスを勧めてきたと。

それも結構いきなり。友達でもダンスをやってる子もいなかったから、お母さんはどこから探したんだろうって今でも思いますね(笑)。

——ね、友達もいるし、別に不登校でもないのに。

そうなんですよね。

clm_mmmatsumoto6_2-680x452

<ダンスでGO!>

——ダンススクールに通ってて何が一番楽しかったですか?

音? 音に乗る感じです。そういう感覚が今まで味わったことなかったから。

——スクールはどんな様子でしたか?

すごく長くやられてる先生がいらっしゃったんですけど、その方が結構厳しくて。初回の時から結構みんなズバズバ言われてました。

——YUKINOさんはそれも苦にならず?

はい。「これは楽しそうだな」っていう感じしかなかったですね。それで体験入学を2回終えて、ダンス学校に通いたいって自分から言い出したんです。

——わりと一人でも平気な人なんですね。

一人、平気かも。自分が興味あったり、いいなと思うものなら、あんまり周りの意見には左右されないタイプなので。

——それで通い始めて、どんどん習得出来て、勘もつかめていったかと思うんですが。

その感じは自分でもすごく分かりました。ちょっとした基礎テストのようなものがあって。最初ジャズダンスを習ってたんですけど、基礎から始まって、先生からもらった紙にやり方が書いてあって、それに合格出来るとどんどんマルをもらえたんですね。マルが徐々にもらえていくのも嬉しくて。その内センターを務めることも多くなってきて、そうなると「これは頑張んないといけないな」って思ってましたね。

——優秀だったんですね。

ですかね。一応みんなのダンスを見たりまとめたり考えたりは自分が担当してました。リーダーシップとまではいかないですけど、コンテストに出る為に次のネタを考えるとか、そういう部分は先生と相談しながら自分がやってました。

——そのスクールはいつ頃まで通ったんですか?

小1から中2までの間です。最初が地元のジャズダンスのスクールで、中2から高1までは、もう1つの違う地元のスクールに通って、そこではグループを組んでいました。

——途中でスクールを代えたのは、なぜですか?

これが結構深くて。2個目のスクールの先生が、もともと私が小学生から行ってたスクールの先生の教え子の方で、そのつながりで「今度こっちでスタジオ作るからグループを組んでやんない?」と言われたんです。だから、みんなで「ちょっとチームを作りたいんだけど」って始めたんです。グループを作るキッカケでスタジオをオープンさせるっていう話だったから。

——じゃあ選抜されたメンバーは、結構経験者が集まってるわけですよね。

そうです。本当に小1から一緒にやってきた子達と。コンテストもあるんですけど、それに出る為にグループを5人ぐらいで作って。みんな知ってる分かり合える仲だったし、家も近い者同士だったし。コンテストにはかなり出てました。でも最初は本当にダメで。でもその2個目のスクールの先生の構成が素晴らしくて。構成がちょっと他のグループとは変わってたみたいで、結構複雑な部分とか、仕組み的な部分が評価されて、何回か賞が取れたんですよ。そこからダンスのレベルも上げたり、他のジャンルも入れたりしていきました。

——そのグループの活動は県内で?

いえ結構東京にも来てました。予選が茨城で決勝が東京ということが多かったので。

——ダンスも自分達で作ってたんですか?

スクールの先生と相談しながらの場合もあれば、先生が作ってくれる時もありました。

——その頃、参考・ヒントになってるような人達はいたんですか?

当時だと、Bounce backっていうグループです。その子達は私より3つとか上の子達で、男の子が1人入ってるグループでした。当時カリスマ的な存在でしたね。

——当然その頃になると分析もされてたと思うんですね。要するにそれまでって、ダンスの技・踊り方を習得してた部分が大きかったと思うんですが、今のYUKINOさんのダンスを見ると、何かをなぞっているようには見えないんですね。

振り付けは振り付けなんですけど、それを振り付けのように見せないっていうのがすごく大事だと昔から思ってますね。以前は結構そこの部分を指摘されることが多かったんですよ。「それってただの振りでしょ」みたいに。そう言われて自分の動画を観ると「あ〜」って納得することが多くて。カウント通りとか、「ただ振り付けだな」っていう風に見えてたから。上手い人はカウントが見えないんですよね。本当に音と同じ動きをして、逆にダンスを見て音が分かるぐらいなんです。

——ではダンスを続けてきて見えてきたもの、それは何ですか?

グループを組んでダンスコンテストに出た時に感じたのは、チームで目標に向かって練習していって結果がでた時の半端ない喜びや悔しさなんです。それは多分誰かと一緒に何かに没頭していないとあんまり味わえないものだと思うので。しかも、そのコンテストって、たった1曲なんですよ。1曲という本当に少しの分数で、それまで何か月もみんなで全精力を注ぎ込んできた結果が出てしまう。一瞬で終わっちゃうのがすごい世界だなと思いました。「一発出て来て最初の3秒で決まる」とか、本当に言われてました。

clm_mmmatsumoto6_3-680x452

<チアドラゴンズ、WREIKO SISTERS、2つの映像から>

——YUKINOさんがダンスというものをどう考えてるのかなと思って、2つの資料映像を送らせてもらったわけですが、まず中日ドラゴンズのチアグループ、チアドラゴンズはどうでしたか?

私、小学生の頃ジャズダンスをやってる中で、ちょっとしたチアリーダーのマネもやってたんです。ラインダンスもやってましたし、本当にポンポンを持って地元のバスケのチームの試合の間で踊ったこともあって、実はチアリーダーに若干憧れがあるんです。

——あ、そうなんですね。

はい。しかも、『ハイスクールミュージカル』というチアリーダーが出てくる映画が大好きで、よく友達と振り付けを覚えてマネしてました。かなりなり切りで(笑)。だからチアドラゴンズさんの映像を観て、カワイイって素直に思いました。

——もう1つのWREIKO SISTERS(レイコシスターズ)はどうでしたか? 創作ダンスですが。

私、ジャズベースだったりリリカルな感じも好きで、ああいうネタもやってたことがあるんです。だから昔自分がやってた踊りに近いなと感じました。それと同時に、やっぱりジャズっていいなって思いましたね。

——ああいう情感がある感じって、やっぱり好きなんですね。

昔から変わらず好きですね。

——La PomPonでのYUKINOさんのダンスもエモーショナルだと思うんです。体の動かし方、表情全て。それはジャズダンスをやってたからですか? それとも、もともとそういう人だからなんですかね?

う〜ん……やってたからかな〜。ダンスをやっていく中で自分の見せ方、感情の出し方を身につけていった気はします。

<アイドル性の芽生え>

——お話を聞いていると本当にダンス人生ですね。

(笑)。もうダンスを取ったら何もないかもしれないぐらいやってますね。

——もしかしたらYUKINOさんは、レイコシスターズさんのような創作の世界に行ってたかもしれないじゃないですか。でもそこへは行かず、このLa PomPonの世界に来たっていうのは、どういう理由なんですか?

三浦大知さんのライヴを観るまではダンサー志望で、ダンスが出来る仕事だったらいいなという考えでいたんですけど、やっぱり大知さんの存在があって「アーティストってこういうことか」と思ったんです。その刺激は大きくて「こっちになりたい」「メイン張りたい」という気持ちが生まれて、高校生になってからは歌も習い始めたんです。それで今の会社に入ったんですが、その頃は「絶対ガールズグループに入ってやる!」って思ってました(笑)。その直接のキッカケはHappinessさんなんです。ミスタードーナッツのCM曲“Happy Talk”で知って、「うわ〜何コレ? え〜何この子達?」っていう衝撃しかなかったです。

——ちょっとライバル心もあります?

それどころか「Happinessさんに入りたい」って思いました。そこから『週間EXILE』も観るようになって、「『オカザイル』にも出てるじゃん!」となり、そこからですね、自分の中でガールズグループが始まったのは。

——その衝撃の中に多分、三浦さんも持っていただろうアイドル性があったんじゃないかと思うです。多くの人の注目を浴びてキラキラする感じが。

確かに大知さんの場合は、黄色い歓声とか本当すごくて。

——Happinessを見た時も、その感覚は感じたんですか?

感じましたね。私とは1個2個上で。本当に同年代に見えた子達がこういう風な出方、こういうグループとして活躍してるんだなっていうのを知って、すごいなと思ったし、自分もそうなりたいと思いました。目指すしかないなって。

clm_mmmatsumoto6_4-680x452

<La PomPon最初期の2年間>

——入ってオーディションがあったかと思うんですが、その時最初からガールズグループを作るという話だったんですか?

そうです。でも、詳しく路線が伝えられていたわけではなく、ガールズグループを作るという話まででした。それで、そのグループに入って、スカウトで入ってくる子もいて、2年の間に今の6人に決まりました。

——レッスンとかもLa PomPon以前とは違いましたか?

全然違くて。もっと表現を重視されました。歌とダンスを組み合わせるにしても、どっちにも傾いちゃいけない本当に技術的な部分とか。私は、やっぱり歌に自信が無かったので、歌を頑張んなきゃいけないなっていうのを一番思いました。

——歌自体は好きなんですよね? 好きなシンガーさんもいるんですか?

歌うのは昔から好きでしたね。洋楽を聴くんですけど、初めて買ったCDがジャスティン・ビーバーで。ジャスティン聴いたり、あとビヨンセ、マライア・キャリー、アリアナ・グランデとか。日本人の方ならBENIさんとか結構聴いてましたね。

——ダンス面では?

ダンスだと、やっぱりグループになって一体感を出せるようになろうみたいな時期があって。K-POP並みに揃えてみようとか、曲の雰囲気に合わせるにはどうすべきかをみんなで話し合ったりもしました。あと、韓国グループのメンバーって1人1人すごい個性あるから、K-POPのそうした個性に合わせて自分達を当てはめてみたり。

——やっぱりレッスンを通じてもアマチュアとプロの違いを感じました?

以前とは違いましたね。やっぱり今までは趣味としてダンスをやるところから始まってたんですけど、やっぱりこういうグループで芸能活動として自分の仕事としてやると、本気で極めにいく部分で、全然甘くはなかったですね。

——日々ずーっと2年間そういう感じでした?

ほぼ毎日。土日だと朝から夜まででしたね、ずーっと。スクールが地下にあって気づけば、「うわ、夜だ」みたいな(笑)。

——YUKINOさんを始め、ダンス経験者もいるのに、それでも2年間それを続けてたわけですが、その2年間心中はどうでした?

だから相当不安でしたね。本当にデビュー出来るのかって。したいけど何で早く出来ないんだ? っていうのと、レベルが追いついてないというのも感じてて。

——以前の経験上チームワークが大切なことはご存知かと思うんですが、La PomPonのメンバーは全員初顔合わせだったわけですよね。以前のグループのように知り合いで、みんなでチームを築いてきたわけじゃないから、そこは意外と大変だったのでは?

大変でした。やっぱり小さい頃から一緒にいるわけじゃないから、分り合える部分を探しました。というのも自分はもともと人と話すのが苦手なので。それで結構気を使って、深く知れなかったり声かけも積極的に出来なかったりで、自分がリーダーだともなかなか思えなくて。そういう葛藤がありましたね。

——それでチームをまとめるには、どうしたんですか?

すごく時間をかけて地道に来ましたね。

——でもダンスって瞬時の動きもある。相手のことを信頼してなかったらぶつかるかもしれないわけですよ。

だから「呼吸を合わせろ」ってよく言われました。

clm_mmmatsumoto6_5

<YUKINOさんとの対話>

——YUKINOさんのダンスは、17歳にしては驚く程表現力があると思うんです。あの表現力は何で培われたんですかね?

そうですね……日頃吸収することは自分でもすごく意識してます。やっぱりいろんな人の映像を観たりもします。憧れ的な部分で三浦大知さんから始まり、あとはいつも動画とかを観てたビヨンセとかアリアナ・グランデとか、そういう人物を重ねて、その人物で自分はどれを活かせるかを考えると、自分には無いのはここだなとか、自分が出来そうなのはこれだなとか、そういう部分を研究してイメージもしながら、ひとつひとつ自分の体に入れてきました。やっぱり唯一無二の存在になりたいという気持ちが強いので。

——そう、ダンスにイマジネーションを感じるんですよね。普通の17ぐらいだと、まだリズムに縛られちゃったり、「こういう風に踊るんですよ」って振り入れされたままというか、なぞる感じも多くて曲に乗れてない人が多い。動きが曲に先行していないというか、曲に頼ってる感じがして。でもYUKINOさんはそれを感じさせない。

そうかもしれないです。やっぱダンスあってこそのLa PomPonだという意識は強くて。どんな曲でもソロ回しが出来て、1人で魅せれて、っていう6人でいたいんですね。

——それにしてもYUKINOさんは勘がいいというか。瞬発的な動きは持って生まれたもののような気もするし、小さい頃から外遊びが好きだったこととも関係ある気もします。遊びの中で養われたものが今に至るリズムの源泉、というナチュラルさが魅力ですよね。

ありがとうございます。日常的になんでも自然に出来て、自然に見せれて、自然に出来ることは意識してますね。

——その上で表現を大きく見せる。観客にアピールするわけですからね。

パフォーマンスやライヴ、自分の歌となると、そこは誰よりも大きく動こうっていう気持ちは強いです。ダンスにもその人の性格が出るという話から、最近は「すごい真面目だよね」って言ってくれる方が多いんです。実際別におもしろいことも言えないし、人見知りだし、口下手なんですけど、それがダンスに出ちゃってるとは自分では思ってなくて、実際のところダンスになると弾けてるっていうのはあります(笑)。

——いやホント弾けてますよ。あれって別の自分になってる感じもあるんですか?

そう意識したことはないですけど、でも一番楽しい時間ですね。

——そう、本当楽しそうで。表情にしても例えば、顔を動かす瞬間の目線の残し方みたいな(笑)。無意識だと思うんですけど、表情の作り方? を見てると、もともと結構感情の起伏が大きい人なのかなとも思うんですが、どうなんですか?

「顔に出るね」って最近言われます。「結構激しく表情変わる」って言われて。

——こう、って決めたらそう行く。そういう意志の強さの表れなんですかね?

というか多分プライドが高いんですよね。あんまり自分の弱味を上手く語れないし。悩んで友達に相談したことも数少ないですね。基本的に自分で解決出来ることは自分でやるっていうタイプなんです。

——自分で蒔いたものは自分で責任取るという。

そうですね。

——厳しいですね(笑)。

厳しい方がいいかなと。

——じゃないとダンスもキリッとしないでしょうね。

うん、確かにそう。やっぱり自分の中のメリハリも考えるし、それこそ曲によって変えていかなきゃいけない部分があるので。

——曲には歌詞がついてる。歌えば当然、歌詞内容が自分に入って来ますよね。それを声だけじゃなく全身で伝えると。YUKINOさんがどういう意識で歌っているか、それも知りたいんですよ。歌をお客さんの前で具現化させる為に自分を道具として使ってるのか、それとも自分というものを成立させる為に歌を利用してるのか。

自分を使って歌を表現してますね。それによって歌を理解してるからこそやっぱ見せれる仕草だったり、雰囲気だったりがあって、それを見てる人が分りやすくなるようにパフォーマンスするのが自分ですね。

——自分達より歌の方が大事というか。となると、何の為に表現をするのかなんです。もっと根本を言うと、何の為に踊ってるか。もっともっと言うと、つまり何者になりたいか? でもあるんですけど。

でも、歌を表現するのだったら多分ロボットでも出来るので。正確なのも大事なんですけど、自分自身を表現するのが歌なのかもしれないって思う時もあります。

——そうなると、いよいよ自分っていうのはじゃあ何なのか? っていう話で、日々自分を作っていかないと、という話になりますよね。表現っていうものもそこにあると。YUKINOさんは、表現って何だと考えてますか?

……気持ち。気迫とか。何かしら自分の気が入ってる動きだったり、自分から生まれるものかなって。

——ですよね。ものすごい嬉しい事、もしくはつらい事があったとして、それをダンスになる前の声と体の動きで表現するとすれば、っていう部分の話ですよね。例えば、机をバンッと叩いてウォーって叫ぶって動作は、ダンスの始まりですよね。つまり気持ちが強ければ、その分だけ人に伝わるわけで、ダンスも歌も表現全ては、この気持ちを解読して説明文にしたような事にしかすぎないわけですよ。気持ちが強ければ、ダンスや歌に詳しくない人へも伝わるんだと思うんです。そうじゃないと武道館には立てないし、世界には行けない。だって世界は人種も言葉も通念も違うから。それらを越えるには、同じ生き物同士で通じ合う事じゃないと。それはもう根源の衝動的な感情で、きっとすごくシンプルな感情なんだと思うんです。

やっぱり武道館、そして世界を一番高い目標にしてるので、ダンスでもただのダンスじゃなくてどこまで極められるかとか、それこそその衝動的な、一発で見て「何だこれ!?」っていうようなパフォーマンスが出来るようにとは思ってますし、そういうことを発揮しやすい曲に出会えるように自分達がなっていかないと、とも思ってます。

——確かに出会う曲によって出やすくもなりますよね。あとね、表現ってすごく曖昧なことでしょ。そこがポイントだとも思うんですよ。つまりダンスを踊るにしても意外と誤差が大事かもしれない。訓練して正確にやろうとしても、人間がやることだから、ちょっとしたことで一種のミスが起こる。実はそのミスやズレが人気の秘訣だとも思ってるんですよ。単なるミスじゃなくて、極めていった先で、多分気持ちが高ぶったりした時に起こるブレ。それを観たい聴きたいと思ってる気がする。上手い歌手っていうのは音程が取れるってことじゃなくて、自分なりの崩し方が出来る人。そのことで同時に裏地が感じられる人だと僕は思うんです。そこで更に思うのは、ダンスを極めていったらダンサーの世界があるわけだし、歌を極めるんであれば音楽の世界があって、いくらでも上手い歌手がいるってことなんです。スタイルで言えばモデルさん達が先にいますよね。それぞれで極めてる人達がいる。じゃあ、ガールズグループやアイドルって何なんだろう? って考えませんか?

でも逆に、モデルの方が今から歌を歌うとか、急に今ここで踊れとか言われても、多分そこまでのことは出来ないと思うんですよ。でもやっぱガールズグループであるからこそ、決して出来なくはない部分が。モデルも出来るかもしれないし、歌だって頑張れば出来るかもしれないし、ダンサーだって頑張れば出来るかもしれないのが、可能性としてやっぱり広がる中心にいるのがガールズグループかもしれないなとは。どこにでも行けるかなっていう。その中心にいるからこそ中途半端って言われるけど、でも他より可能性があるなっていうのはありますよね。

——YUKINOさんは自分の特性は何だと思ってて、それをどう活かして、将来何になりたいと思ってるんですか?

私は、音楽はやり続けたいなっていうのが一番にあって、今楽器も習ってて。ギターとピアノをやってるんです。曲も作りたいし、作詞もやってるので、そこを続けていきたいっていうのはあるんですけど、でも最近だと写真を撮られるのもすごい好きで、ファッション関係にも興味あるし。あと、お芝居だったり、本当にまだ全然新人なんですけど、自分の表現する、さっき言ってた表現の曖昧さをやっぱお芝居ってセリフがあって動きもあって、ダンスじゃないけど見えるものがあるんで、そういう意味で自分の表現の幅が広がるのかなと思って、頑張りたいと思ってます。La PomPonに入ってから視野が広がりました。

——当面、増々中途半端になっていきそうですね(笑)。僕はね、そもそも“中間”も価値だと思ってるんですよ。さっきYUKINOさんがおっしゃったように可能性の宝庫というかベースという意味で。ガールズグループやアイドルがベースになって、そこからお笑いにいく人とか、歌やる人、モデルをやる人になっていく。その最初の入り口というか。

実際多いですよね。多方面に出来るのってすごいなって思いますね。やっぱり西内まりやさんとかすごくて。この間もちょうど10月25日に沖縄のファッションショーに初めて出させてもらって、ランウェイを歩いたんですけど。まりやさんはライヴもやって、ランウェイも歩いていて、今ドラマも映画も出演されてるじゃないですか。それで初めてライヴを観させてもらったんですけど、その時ハプニングがあったんです。オケの音がキーより半音低かったりリズムが遅かったりして。でもその時の対応力が本当にすごくて。もちろんトークも上手だし、お客さんに話しかけるように全部進めていくんですよね。キーが変わってたその時も「じゃあ弾き語りしていいですか?」とまで言っちゃって、完璧にこなして、「わー、初めてやったよ〜」って言うんです。こっちはもう「えー!?」みたいな。本当にもう神々しく見えました(笑)。すごかったですね。

——そういうのを観るとすごい吸収するでしょ。

はい。あれを観れたのは本当にいい経験でした。

——ハプニング自体も、もう表現にしちゃうとか。

とかも、そうなんですけど、なんかもうカリスマ性がすごくて。自分は17歳でそこまでのカリスマ性を出せるかと言えば難しいんですけど、でもカリスマ性って自分から出そうとするものじゃないのかなと。だから、今の自分は自分らしく多方面に行きたいなっていうのはありますね。

——その自分らしさっていうのは?

さっきも言ったように、自然にナチュラルに、そこまでオーバーに着飾ったりするのは本当にライヴパフォーマンスで、そこは自分の気持ちで動いていけばいいかなって思うんですけど、その他ではそこまで頑張りすぎなくてもいいかなっていうぐらいのスタンスでいることですかね。

——でも口下手と言うわりには、全然口下手じゃないと思うんですけど(笑)。

え〜いやいやいや。ライヴのMCとか本当苦手なんです。

——まあ、MCも含めて、歌もダンスもそこにいるお客さんさえもショーを構成するパーツですよね。要するにハプニングも楽しむというスタンス。だから、正確無比なだけが価値じゃないというか。大切なのはその人の味や技になってること、つまり個性かなと。踊り方ってあるじゃないですか。ヒップホップだったらヒップホップの。あれを習得するのは結構なんだけど、それだけだと厳しくて、舞踏の世界でよく言う間合いや気の動きのような不意の動きがないと。やっぱり、こう動こうと思ってる作為的な動きっていうのは予測がつくから白けるんですよね。ナチュラルに自然とそうなってる、気がついたらそういう形に体がなってたっていうのが良くて。自分でもあとで気づいてビックリみたいなのが。それってYUKINOさんなら分かると思うんです。

はい、分かります。歌でも歌い癖とか本当にヴォーカルの先生に「こうなってるのは意識してやってるの? それとも自然にそうなってるの?」とか聞かれます。でも意識してやってる部分もあるけど、でもそれが自然に出来てればいいのかなって。自分の個性につながるのかなって思います。個性的でいるのはすごいいいですよね。

——あとは周りがそれを認めてくれるかどうかですよ。そこがすごく大きい事なんですけどね。ということで今日はたくさん話していただいてありがとうございました。めちゃくちゃ楽しかったです。

こちらこそ、ありがとうございました。

プロフィール
dic_lapompon1-680x578La PomPon(ラ ポンポン)
2015/1/28 1st Single「BUMP!!」でメジャーデビュー。以後、2nd Single「HOT GIRLS」 3rd Single「謎 /ヤダ!嫌だ!ヤダ!」をリリース。3rd Singleはオリコンウィークリー初登場8位を獲得する。メンバー6人がおりなす、ダンスパフォーマンスとコーラスワークは必見!! 中でも、YUKINOはリーダーを務め、2015/10/25に行われた「琉球アジアコレクション RACo2015」では、モデル yukinoとして、ランウェイを歩いたり、来年1/10〜O.AのWOWOW 連続ドラマW「撃てない警官」第5話に出演するなど、活躍の場を広げている。
MMMatsumoto

MMMatsumoto

MMMatsumotoこと松本昌幸は音楽雑誌MARQUEE(マーキー)の編集長である。音楽雑誌と言いながら8割はアイドルという誌面作りに日々勤しむ。バンド/DJ取材期より非常に現場主義であり、当然ドルヲタ理解度も高い。三次元での2010年代現代アートとはアイドルのことだと思っている超地下からAKBGまでのクソDD。