特集

MMMatsumoto「アイドルを探せ!」
~#8(最終回) 藤川千愛(まねきケチャ)~

雑誌「MARQUEE(マーキー)」の編集長、MMMatsumotoです。毎回、個人的趣味全開でお送りしてきましたこのコラム「アイドルを探せ!」も、今回で最終回。お付き合いいただき、ありがとうございました。
4月からは、欅坂46、原駅スタージA/ふわふわ、ロッカジャポニカ、たこやきレインボー、ばってん少女隊、BiSH、妄想キャリブレーション、まだ内緒の有望グループ複数などなどがメジャーデビュー。すっかりアイドル地図が変わるその瞬間の、一番楽しくて注目すべき時期だというのにね。これら新しい出発組については、引き続き僕が編集する雑誌「MARQUEE」で追っていきます。
さて、今回はそんな成長組の一つで、今アイドル現場で話題のまねきケチャから藤川千愛さんにご登場願いました。金髪と言うよりもブロンドの、まるでハーフのような藤川さん。この写真を見てください! まるでヨーロッパの女の子! ご本人も言うように、どう見ても原宿系。ところが、玄関開けるとすぐ御飯、じゃなくて玄関開けると野生の猿の群れ。という謎話はこの後インタビューで。
ギャップの美学を持ち合わせ、このルックスにして実は本格的な歌指向。既に現場行ってる人達は百も承知ですが、低音もちゃんと出せるその歌声は、ミュージシャン/シンガーのそれとほとんど変わらない。ステージでの身のこなし・動きからも察せられるように「私は私」という信念の持ち主だ。それでいて、センスを感じさせるこのロリータな雰囲気というのが超絶貴重。カルチャーがあって、もちろんファッション好き。きゃりーぱみゅぱみゅに憧れるとご本人が言うとおりだと思います。
今回は、どこかまだ怖いもの知らずゆえにアイドルとして成立できている絶妙バランスの「私は私」、そのルーツを探りながら話を進めます。

Photo・Text・Interview:MMMatsumoto

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<タイプ>

――千愛さんの名前の由来からおしえてください。

たくさんの人に愛を与えたりもらったりする子になってほしいということらしいです。お母さんが付けてくれました。生まれ変わってもこの名前がいいです。

――では定例の、好みのタイプを聞かせてください。

男性だったら一緒にいて楽しい人がいいです。あとは、いろんな事を教えてくれる人。物知りな人がいいです。

――どんなことを知りたんですか?

私はちょっとバカなので常識的なこととか(笑)。例えば、数学とか社会とか教えてもらいたいです。

――でもサインコサインを勉強しても将来役に立たないですよ(笑)。

あ~そうなんですか?

――はい。女の子には関心ありますね?

カワイイ女の子が大好きなんです。特に色素が薄い子。本当に雪みたいな白い子とか、あと髪色もすごい薄い子が好きです。きゃりーぱみゅぱみゅちゃんのような。そう言えば、この前『行列のできる法律相談所』にきゃりーちゃん役で出させてもらったんですよ。演技って難しいけど、でもすごい楽しかったです。

――では藤川さんの“カワイイ”定義を教えてください。

ちょっとメンヘラっぽい感じ。“病みカワイイ”は結構好きです。病的に細い子とかすごい好きなので、自分もそうなりたいと思ってます。

――いやいや充分細いし、白いし。

いやいやいや。もっと白くなりたいです肌が。

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<「無人島に行ってよくバーベキューしてました」>

――小さい頃の藤川さんは、どんな人だったんですか?

私、小学校の頃は海によく行ってて、真っ黒だったんですよ。無人島によく行ってました。

――は?(笑)

お父さんの弟が船を持ってて、それで無人島に行ってよくバーベキューしてました。

――カニやヒトデも実際知っている、と。

知ってます。ウニも。手で持ったこともあります。カマキリとかも。地元がすっごい田舎で。玄関を開けたらサルが何十匹もいて、その中を通って学校に行ってました(笑)。

――(爆笑)。意外過ぎる。絶対、原宿で生まれ育ってると思われてますよね(笑)。

はい、人によく「意外だね」って言われます。

――この髪色、このファッションで帰省するんですか?(笑)

でも、田舎にいる時から結構明るい髪してました。ピンクとか(笑)。だから目立ってたと思います。学校でも私ぐらいでした。でも高校は、黒髪の子でも光に当たって茶色かったら黒染めしなきゃいけないぐらい校則が厳しくて、だから私も真っ黒でした。

――話、少し戻しますけど、好きな女の子の“メンヘラ”の部分を詳しく聞きたいです。

自分の好きな世界観がある子に憧れます。そうなりたいです、自分も。

――藤川さんも猿の群れの中をピンクで通ってたわけだから、他人からの中傷非難に負けない「私は私」という考えがあったかと思うんですが。

そうですね。親とかおばあちゃんにも「何その髪色?」って、いつも言われてたんですけど、自分の好きなファッションや髪色をしてる方が気分も楽しいし、何事も楽しく取り組めるんです。だから全然周りは気にしてないです。

――それで次の日は緑色とかになるんですね?

そうです。「カメレオンみたい」って言われてました。髪色はすごい変えてました。髪型はボブぐらいで、よくエクステを付けてましたけど。

――早いうちから、自分は前髪ぱっつん、ボブで、ピンクとか色が入ってる方が似合ってると、自分で分かってたということですか?

お人形さんみたいなのがカワイイなって思ってて。黒髪は絶対したくないって思ってます。そのキッカケが、きゃりーちゃんです。そこからネットを通して、こういう世界観がカワイイなって思うようになりました。

――自分もそこの世界に行きたいと思ってたと。

思ってました。地元からはいつかは出たいなと思ってましたね。

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<「私は辛い事があっても絶対歌手になる」>

――いつ頃からそう思ってましたか?

私は、もう本当に3歳ぐらいの時から「歌手になりたい」って言ってたのを覚えてるんです。卒業アルバムも「私は絶対歌手になる」って書きました。というのも、この前成人式だったんですけど、11年前の自分からの手紙が届いたんですよ。そこに「私は辛い事があっても絶対歌手になる」って書いてありました。

――そのキッカケは?

おじちゃんが、そんな売れてないんですけど歌手をやってて、よく歌ってるところを見てたんです。おじいちゃんが主催するカラオケ大会に出たりもして。お母さんも歌が大好きで、倖田來未が好きでした。お母さんは赤文字系ですね。

――藤川さんは青文字系。田舎だと、ますます理解されませんね。

好みの合う友達がいなかったですね。でも、人と被ったりすることが好きではなかったので、逆に嬉しかったです。「変だよ~」って言われるのも。

――でも友達に、「この洋服いいよね」って言ってもポカンだと寂しくないですか?

「なんで分かんないの?」って思ったことはあります。「カワイイんだよ!」って思ったり。本当に田舎だったので周りには原宿系が好きな子はいなかったですね。

――じゃあ、東京に来てやっと解放されたと。

そうですね(笑)。嬉しかったですし、お店に入っても置いてある物がカワイイ物ばっかりで。特に原宿に置いてある物は。楽しいです、買い物が。でも田舎も大好きなんです。やっぱ空気がおいしいですし。

――現時点でお気に入りのシンガーは?

最近はFlowerさんを聴いています。鷲尾伶菜ちゃんの声がすごく好きで。すごいストイックで、私もああなりたいなって思います。あとは、大原櫻子ちゃんもよく聴きますね。声がいい子が好きなんです。でも“良い”と思ったものなら何でも聴きます。ファッションも同じで、ブランドもあんまり気にしてなくて、カワイイと思った物を買いますね。

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<アイドル選択のワケ>

――ご自身の性格を一言にすると?

性格ですか? 私は頑固です。レコーディングもメンバーの何倍も時間がかかります。OKテイクが出たとしても、自分が納得するまで何回も録り直すので。

――初めてライヴを拝見した時から、歌には本気を感じてます。なぜアイドルを選んだんですか?

正直最初は、アイドルさん自体にあんまり興味が無かったんですよ。原宿系がすごく好きなだけで。それでツインテール協会を知って応募したら、まねきケチャっていうグループのオーディションがあると聞いて、アイドルだから迷ったんですけど、コレットプロモーションさんのアイドルは100%口パクじゃないと聞いて、それが決め手でやってみようと思いました。

――もし歌をやれるチャンスが来れば、歌をやる可能性はあると。

はい。カラオケも昔から一人で行くのが楽しくて。本気で歌いに行ってました。そういうところは真面目だと思います。結構ストイックで、音楽がないとダメです。

――アイドル活動を始めて感じたことは?

世間からしたらアイドルって口パクっていうイメージが強い気がして。それがちょっと嫌です。“アイドルなのに歌が上手い”じゃなくて、“アイドルは歌が上手い”って言われるようにしたいです。アイドルってやっぱり元気で笑顔だと思うんですけど、私は歌を追求したいです。歌が好きで歌ってると「強そうに見える」とか、「支えなくてもよさそう」と思われることもあって、私ってどうやって歌ったらいいんだろう? って悩んだ時もあったんですけど、やっぱり自分が楽しくないとお客さんも楽しませられないから、もう自分の好きなように歌おうって思いました。アイドルだからここまでにしとくみたいなのは絶対にしたくないです。普通にたくさんファンになってもらえるように頑張ってます。本当に夢は紅白に出ることなので、おじいちゃんおばあちゃんとか、30代、40代の方も全部の方にいいなって思ってもらえるグループになりたいです。

――活動してて新たにこれは楽しいなと思ったことってどんなことですか?

私は本当にアイドルさんのことを全く知らなかったので、チェキ会とかがあることを全く知らなくて、最初はそれにすごい戸惑いました。「何話せばいいんだろう?」とか。初めての人と話すのにすごい苦労しました。けど、今はそれが楽しいです。昔はそんなに人とコミュニケーション取る方じゃなかったので(笑)、チェキ会がキッカケで色んな人と話せるようになりました。

――自分にとってすごい発見ですよね。

最初はファンの方に「千愛ちゃん全然話せない」って言われてたんですよ。でも最近「話してて楽しいし、すごい話せるようになってきたね」って。それがすごい嬉しいです。

――きゃりーのように、いわゆる昔のアーティストでもアイドルでもない不思議な存在が理想として、やっぱり大事なのはカワイイ。

私あんまりかわいこぶったりが得意じゃなくて。カワイイのはOKなんですけど。

――でもアイドルのおもしろさっていうのは感じてきてるっていうこと?

感じてきました。やっぱファンの方との距離が近い。で、アドバイスをくれたりとかもあるので、出来なかった事が出来るようになったり、教えてくれたりとかそういうのは嬉しいですね。

――アイドルを続けていくにはどういう気構えとかね、どういう心持ちが必要だと思ってます?

歌がすごい上手い子とか、すごいカワイイ子とかって本当にたくさんいると思うんですよ、アイドルさんの中で。でも、売れてない人とかっていると思うんです。運とかチャンスとかっていつ来るか分からないので、常にそれをつかめるように準備しておくっていうことですかね。私は、ライヴ前は絶対に家でヴォイストレーニングをします。調子が悪い時がないように、常に100%の力を出せるように頑張ってます。

――打ち込んでる人だなって思います。音楽好きにも聴いてほしい歌声だなと。

でもそういう関心とかはあっても、私はまだ感動させられることが出来てないと思ってるので、そこが目標です。

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<まねきケチャのこれから>

――では紅白や武道館に行くには、今のまねきケチャに何が必要だと思いますか?

う~ん、それ最近みんなでよく話すんですよ。みんな仲良いんですけど、お泊まりとかもよくしてて、その時に真面目な話をみんなで最近よくします。「どうしたらいいんだろうね」って。私は、やっぱライヴの回数ってすごい多いんですけど、その1つ1つを全力で頑張るっていうことですかね。ダンスがちゃんと揃ってるとか、歌もみんなちゃんと上手に歌えてて、メンバーの団結力も必要だと思います。

――まねきケチャは、ちょっと曲も変わってるじゃないですか。そこはどう思います?

そういうのは自信です。今までにないアイドルになりたいし、他と違うっていうところを見せていきたいです。

――自分は自分、まねきケチャはまねきケチャでありたい。その個性重視な感じって一貫してますね。千愛さんらしいね、って言われるのは嬉しいわけですよね?

すごい嬉しいです。でも、分かられるのも嫌なんですよ。ちょっと謎のある人が大好きだから。ちょっと分かんない人がいいですね。

――この髪型、髪色、洋服で、千愛さんが「歌極めたいです」と言っても、「本当?」みたいなイメージがあると思うんです。

ギャップはちょっと意識してますね。裏で遊ぶよりは歌の練習をしてたいし、そういうところは誰にも見せたくないです。歌になったらパッて変わる人みたいな感じになりたいです。ファッションとかも、ふわふわしたのとかおバカそうな感じが好きなんですけど、歌は本当に真面目にストイックにやりたいんで、そこでギャップがあったらおもしろいかなって。その方がカッコイイですね。本当に自分の好きなように生きてるって感じです(笑)。

――ご両親からの制約もあんまりがなかった感じですか?

そうですね。お母さんは理解してくれてます。成人式の振り袖を決める時も、私はきゃりーちゃんがデザインした振り袖を着たんですよ。それって普通のお母さんだと多分許されないのかなと思って。なんか変な、お花じゃないし。だけど、お母さんはそれを理解してくれたので、私も好きなように出来てるっていうか。そこは感謝してます。

――自分で歌詞書いて歌ってみたいという欲求は?

あります。いつか絶対に叶えたいです。

――アイドルの世界でそこは未開拓だからクローズアップされますよね。とりあえず近いところでの目標を最後に聞かせてください。

夢は大っきいんですけど、今年の年末ぐらいにMステに出たいです(笑)。

プロフィール
chiai_top-830x460藤川千愛(ふじかわ ちあい)
1995年06月06日生まれ
162cm
岡山県出身
属性:愛
まねき獣 うさぎ
好きな食べ物 素麺、タン塩、もずく
担当カラー ピンク

まねきケチャ
この世界に『福』を招くために、人間界に降り立った見習い天使まねきケチャの5人、立派なまねき天使になるために、歌と踊りと笑顔で世界中の人を幸せにするのが彼女たちに与えられた使命だとか…さてさて、五人の珍道中はどうなることやら?プロデューサーは『三度の飯よりアイドルが好き』と公言する古谷完。『glamb』のファッションデザイナーがプロデュースするアイドルだけに、衣裳やアイドルグッズにも注目が集まる。日本ツインテール協会、コレットプロモーション所属。

まねきケチャ 公式サイト
http://www.maneki-kecak.com

MMMatsumoto

MMMatsumoto

MMMatsumotoこと松本昌幸は音楽雑誌MARQUEE(マーキー)の編集長である。音楽雑誌と言いながら8割はアイドルという誌面作りに日々勤しむ。バンド/DJ取材期より非常に現場主義であり、当然ドルヲタ理解度も高い。三次元での2010年代現代アートとはアイドルのことだと思っている超地下からAKBGまでのクソDD。