特集

日本人クリエイター対談 -Ryan Hemsworth編-
PARKGOLF × Qrion

昨年、Bok Bok、FaltyDL、Jim-E Stack、Matthewdavidら4組を軸とし、日本の最新の音楽シーンを語る上で無視することの出来ない重要なビートメイカー、DJ、音楽にまつわるエディターらを招集、計4回に渡って夢の対談を実現させた”日本人クリエイター対談”。今回はその続編とも言える形で、Lapalux、Ryan Hemsworthの2組に焦点を当てる。

今回は、2月にBeat RecordsからQrion、Tomggg、tofubeatsらとのコラボレーション楽曲を含めたアルバム『Alone For The First Time +5』をリリースしたRyan Hemsworthを主役に置く。ロサンゼルスを拠点とするアーティスト集団WEDIDITにも所属し、フランク・オーシャン、カニエ・ウェストなど著名なアーティストのリミックスで注目を集めるカナダ出身のDJ、プロデューサー。平成生まれだからこそ奏でられる、特有の孤独とエモーショナルで美しいメロディーを感じることが出来る。Taquwami、Seihoなど日本の若手プロデューサーとも交流が深く、限りなく日本と距離が近いアーティストだ。

対談に登場するのは、今作『Alone For The First Time +5』に参加しており、Ryan Hemsworthとの親交も深いトラックメイカーQrion。彼との出会いから世界が広がったとも明かしてくれた彼女の、Ryanへの気持ちへ迫った。さらに、Qrionと同郷で古くから一緒に活動し北海道のシーンを築いてきたトラックメイカーPARKGOLFが前回に引き続き登場。今年リリースしたアルバム『Par』についても少し話を聞かせてくれた。今回も事前にメールインタビューし対談を遂行、Ryan Hemsworthと直接関わりのあるQrionと、同世代であるPARKGOLF。3人が醸し出す共通するゆるりとした独特の雰囲気が感じ取れた。


Edit:加藤諒(2.5D)/ Photo:上野修宏(2.5D)


PARKGOLF、Qrionが思う『Alone For The First Time +5』、彼ら3人のトラックメイキングについて尋ねた。

ryan

Ryan Hemsworthのアルバム『Alone For The First Time +5』聞いてみていかがでしたか?

Qrion(以下、Q):率直に、いいなと思った。有名な歌手を起用するんじゃなくて、彼が好きなアーティストを集めて作ったアルバムって感じで身近に感じました。Secret Songsでリリースしてたトラックメイカーとか、元々自分も仲良くしていたネットの人とかが参加していて近いなって。

PARKGOLF(以下、P):Ryan Hemsworthはコラボレーション楽曲が多い中で、そのコラボしたアーティストの良さをめっちゃ引き立てるなって。日本だったらQrion、Tomgggさん、tofubeatsとか。その他のフィーチャリングしてたアーティストの人も良さが出てるなって。あと、スネアの使い方がうまい。結構、特徴がある使い方をしてる。彼の作るアルバムはいい意味でスムースで、僕はひっかかるところがある感じの曲を作るから、そこがこの間の自分の作品とは違うって感じた。

今作を制作する上でテーマに掲げたことはありますか?

Ryan Hemsworth:「愛」と「憧れ」と「距離」と「近さ」。

今回、作曲する上で今までとは違う取り組みがありましたら教えて下さい。

Ryan Hemsworth:自分が今回やりたかったのが、ボーカリストと近い距離で制作することがしたかったんだ。コラボする彼ら彼女等のジャンル関係なく。そうすることで、自分のエモーショナルな部分にちょっと火を付けたかった。自分の立ち位置がどこなのかっていうのも含めてね。

日本人クリエイター対談

2人はどうでしょうか、実験的な取り組みとか曲ごとにしていますか?

Q:いや、いつも通り。毎回、同じ風に作ってます。あとから、タイトルとかイメージとかをつけることが多くてひたすらキーボードを引いてる。何かしてる?

P:この間のアルバム『Par』に収録した感じの曲は作らないでおこうと今は思ってる。とりあえずは。色々と次のを探してるみたいな感じで。流行りが無くなっちゃったから。なんか面白いのがないかなって探してるところ。

先日リリースされたアルバム『Par』のリミックスでは、Qrionさんが『KISS ME』のリミックスを担当していますが、どうでしたか?

P:最初なんでもいいってQrionが言ってて。他がどんどん決まっていって『KISS ME』と数曲残ってて、じゃあ『KISS ME』でみたいな(笑)。

Q:声ネタが使いやすい方がいいかなと思って選んだけど、結局ああなちゃって(笑)。1番の代表作みたいな感じだから声ネタとかシンセとか、曲として出来上がってて。だから、パラデータもらったときにどうすればいいんだろうと思った(笑)。結局、声ネタの一部しか使ってなくてほぼ作り直しちゃったんだけど。

P:KISS MEって言ってないっていう(笑)。

Q:原曲が良すぎるからそれを崩して作る自信が無くて、もう変えちゃおうと思って。

P:めちゃギリギリに。

Q:締切を超過して……(笑)。

デジタル世代と言える3人が感じる、デジタルとフィジカルとは。

Qrion:Secret Songsをやっていて思う事、またインターネットをベースとした音楽について思う事はありますか?

Ryan Hemsworth:Secret Songsについては自分をエキサイティングにする為の物なんだ。まだ本当に少ししかファンが居ないけど、良い音楽を作って、新しい音楽をやってる人をただ単にリリースする。ゼロから始まって世間に認知させるところまで出来ると自分にとってやってる意義があるのと、そのアーティストが自分がやったことによって評価されたりすることがあるとすごく興奮する。

オンライン上でもたくさんの楽曲を発表されていますが、フィジカルでリリースするものとはご⾃自⾝身の中でどのような違いがありますか?

Ryan Hemsworth:自分で決めるのはなかなか難しいんだけど、僕にとってオンラインで曲を発表するのはとても自然なことで、楽なんだ。曲が完成して、アップロードして、人に聴いてもらって、ダウンロードしてもらうっていう事が普通に感じる、僕はニュータイプ世代なんだと思う。曲をタダでアップロードするなんて変だと思っている古い世代の人もいるけど、僕はそんな気分になれるのが好きなんだ。でもフィジカルはアルバムとしてパッケージ的に考えるから、30分なり1時間の時間を経過しても聴いていられるような統⼀感ある作品を心がけているよ。オンラインに関しては、誰がダウンロードしてもいいような今出来上がったばっかりで今聴かせたいと思う単曲やリミックスをアップしているんだ。

彼はこう仰ってますが、お二人はデジタルとフィジカルでリリースすることに特に違いは感じますか?

P:CDにするってなると責任が違うかなって思う。ネットに上げるほうがどう考えても簡単だし、アルバムをフィジカルで出すってなると色んな人が関わってくるし。例えば、レーベルだったり、流通の人だったり、店舗の人だったり、っていうめちゃくちゃ過程があってリリースされるから責任がやっぱり出てくる。そのぶん、これかなあっていうのでは出せない。そこがインターネットで出すのと違いかな。あと意外と大事なのは、ネットをチェックしない人に届く可能性がある事。

Q:うんうん。形にするとなると、自分の制作方法はさっきも言った鍵盤を引いてあとからテーマつけてそれをsoundcloudにあげるみたいな感じなんだけど、アルバムはテーマがあってそれにそって曲順とかも決めなきゃいけないから、難しいなと思う。そう、今年中にフィジカルでEPを出したいなあとは思ってる。歌物を入れたりしたいなあって。

▶次のページでは、Ryanのチャーミングな一面に迫る
Ryan Hemsworth

Ryan Hemsworth

ロサンゼルスを拠点とするアーティスト集団WEDIDITにも所属し、メイン・アトラキオンズへのトラック提供や、フランク・オーシャン、カニエ・ウェスト、ライ、ラナ・デル・レイらのリミックスで注目集めるなど、オルタナティブR&B~トラップ界隈を中心にジャンルを超えて活躍するカナダ出身のDJ / プロデューサー。昨年の初来日の際には、tofubeatsやSeihoらとも共演。TaquwamiやQrionといった日本人アクトともコラボしてきており、日本の若きプロデューサーたちとの親交が深いことでも知られている。

Beatink HP

Alone For The First Time +5

Alone For The First Time +5

アーティスト:Ryan Hemsworth
発売日:2015年2月28日
レーベル:Beat Records / Last Gang Records
ASIN:B00RB0HV4K
EAN:4523132714561
参考価格:¥1,944
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PARKGOLF

PARKGOLF

札幌在住のBeatmaker / ProducerのPARKGOLF(パークゴルフ) 「Fogpak」や「PIPE DREAM COMPILATION VOL.1」など数々のコンピレーションへの参加。Maltine Recordsからのリリース、SEBASTIAN X、tofubeats、Spazzkid 等の楽曲REMIX、そしてDAOKOのメジャーデビュー作のプロデュースを手がける。さらには様々なイベントへの参加でインターネットのみならず各所で常に注目を浴びる存在。2015年4月8日に待望のアルバムを、Seiho 主宰 Day Tripper Records から「Par(パー)」をリリースした。

twitter:https://twitter.com/parkgolfeee
instagram:https://instagram.com/parkgolf1/
YouTube:https://www.youtube.com/watch?v=VxMGxfYnYI4

Par

Par

アーティスト:PARKGOLF
発売日:2015年4月8日
レーベル:Day Tripper Records
ASIN:B00U7Y211A
EAN:4589945400039
参考価格:¥2,400+税
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Qrion

Qrion

1994年生。札幌在住。 現役女子高生で、2枚のEPをSenSeから2週連続でリリース。 10代の繊細な心境、女性の感性に留まらないメロディがインターネットユーザーを中心に注目を集め、 LIVEも各地で精力的に行う。 2014年5月にミニアルバム「sink」をフリーダウンロードでリリース。Qrionの世界をより深く、海に沈んでいくような5曲に、京都の若手トラックメイカー”Madegg”、カナダの”i am robot and proud”らがRemixerで参加。Twitterでのふとした交流からカナダの”Ryan Hemsworth”との共作「Every Square Inch」(with Qrion)を発表。瞬く間に世界中にQrionの名が広がり、2015年3月に初となるサンフランシスコ公演、その後5月にアメリカツアーを成功させた。

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