特集

~ ワールドワイド・アンダーグラウンド ~
パスピエ

今や大抵のアーティストが”自在にジャンルを横断”し、”境界線を軽々と飛び越え”ていく2014年。従来のカテゴライズは曖昧模糊でナンセンスなものに成り下がり、皆がひっくり返したおもちゃ箱は誰にも片付けられずにそのままだ。そんなポップ・ミュージックが秩序を失いつつある10年代に突如現れたバンド・パスピエ。成田ハネダによって咀嚼反芻消化された多種多様な音楽要素が丹念に練られ、大胡田なつきにより化合物にまで昇華された彼らの音楽を耳にすれば、巷に溢れている音の多くが単なる混合物であることに気がつくかもしれない。パスピエの生み出す楽曲は、卓越した音楽理論に裏打ちされた音の純物質。安直な言葉によるラベリングは意味を成さない。

今回、映画「アップルシード アルファ」挿入歌として起用された『トーキョーシティ・アンダーグラウンド』を筆頭に、11曲47分36秒が収録されたCDと、昨年開催されたツアー「印象・日の出外伝」を収めたDVDからなる2ndアルバム『幕の内ISM』リリースを控えた五人に話を聞いた。


Edit:結城紫雄(2.5D)



皆様の音楽のルーツについて教えてください。

露崎義邦:高校の頃はファンクやアシッドが好きで、ジェイソン・ケイ(ジャミロクワイ)が出しているコンピレーションを聞きこんだりしていましたね。そこからスライ&ザ・ファミリー・ストーンの方に走っていって、ブラックミュージック系の方に傾倒していました。

三澤勝洸:僕はもともとメタルが凄く好きだったんですよ。メタリカとかを聞いて「バンドを組もう!」と思いました。

大胡田なつき:バンドを始めようと思ったきっかけは、日本だとナンバーガール。海外のアーティストだとシェリル・クロウかな……。

成田ハネダ:5歳でピアノを弾き始めてからずっとクラシック一本でした。が、大学一年の時に友人に連れられてロックフェスを見に行って、バンドをすごくやってみたい衝動に駆られて。ポップスとかを聞き始めたのはそこからですね。

やおたくや:ドラムをやるきっかけになったのはBUMP OF CHICKEN。周りの皆がギターを弾いていたんで、僕はドラムを叩き始めました。上京してからは何も繋がりがなかったので、スタジオのバンド募集や、ネットのメンバー募集で出会った人たちから少しずつ繋がってパスピエにたどり着きました。

国内から海外まで見事にバラバラですね。例えば、国外のバンドで競演してみたい方はいらっしゃいますか?

大胡田なつき:私は「アソビ・セクス」とかですかね。

成田ハネダ:僕は、大好きなバンドの一つ「フェニックス」。対バンとはいかなくても……同じ場所に立てる機会があったら良いな、と思います。

ニューアルバム『幕の内ISM』について聞かせてください。

成田ハネダ:これまでメジャーレーベルから2作アルバム(『演出家出演』『ONOMIMONO』)を出していたのですが、前作は特に”匿名性”が凄く前に出ていて、僕らのライブパフォーマンスがちょっと伝わりづらいな、と思った時期がありました。ですから、次の作品は「ライブを想像しやすいアルバム」にしたい、という思いはありましたね。荒々しさをそのまま残して、フィジカルな作品というか、ライブに直結するようなアルバムを目指しました。

ですから『幕の内ISM』はバンドの原点に立ち返ってという部分もありつつ、これからのパスピエの一歩となるような作品というか。もっと僕らパスピエの幅広さを伝えられたらいいな、と思っています。

『幕の内ISM』収録曲もそうなのですが、パスピエの曲には、共通して”和”のテイストを感じます。

成田ハネダ:特に海外意識をして和風にしている、という訳ではないんです。僕は、いわゆるレジェンドと云われるアーティストは、皆共通して凄く民族性が出ている、と感じているんですね。日本で例をあげるなら、和風のテイストをエレクトロテクノに昇華させたYMO。そういった”日本人であるが故”という音は大事にしていきたい、とは常々思っていますから、無意識に作品に表れているのかもしれませんね。

大胡田さんが手がけたアートワークも度々話題となります。その中でも一番印象に残っている作品を教えてください。

大胡田なつき:インディーズ時代に作った初アルバム『わたし開花したわ』ですね。パスピエのアイコンである女の子が生まれた作品なので、凄く印象深いですね。

成田ハネダ:この時期の作品は、現在のタッチが全く定まっていない時なんです。大胡田とてつもない枚数の絵を描いたよね?

大胡田なつき:描きました。それもいろんな画風で。

成田ハネダ:その中で採用されたのが『わたし開花したわ』のジャケットに使われた作品で、そこから主人公というかアイコンというか、とにかくこの女の子が以降のジャケットやMVに登場するようになったんです。

大胡田さんの歌詞は、言葉の持つ意味よりも”リズム”や声に出した時の”音”に重きが置かれているように感じます。

大胡田なつき:パスピエって音もメロディも強烈なので、それにあわせて面白い言葉を使ったり韻を踏んだりはしています。

今回のアルバムは特に、バンドの音に影響されて書いた歌詞が多いですね。今までは「成田ハネダからデモが来る→私は歌詞をかく→リハーサルで合わせてみる」というパターンだったのですが、今回は全然歌詞を考えずにリハーサルを行って、バンドで合わせている時に浮かんだ言葉を書きとめて、家に持ち帰って歌詞へと組み立てる、といったことをよくやりました。

最後に、”パスピエのオリジナリティ”とは何でしょうか。

成田ハネダ:大胡田の声ですね。パスピエの歌を歌えるのは彼女しかいないという風に思っています。

大胡田なつき:あとは、皆のルーツが全く違うこと。これだけバラバラなバンドなんて、他にないと思いますよ。

初回限定盤『幕の内ISM』

初回限定盤『幕の内ISM』

パスピエ
発売日:2014年6月18日
品番:WPZL-30860/1
価格:2,778+税
※初のオフィシャルライブ映像DVD付「パスピエ TOUR 2013 “印象・日の出” 外伝 at AKASAKA BLITZ」
※特殊パッケージ仕様
Amazonのカートに入れる

通常盤『幕の内ISM』

通常盤『幕の内ISM』

パスピエ
発売日:2014年6月18日
品番:WPCL-11854
価格:2,300+税
Amazonのカートに入れる

MTV81

MTV81

MTV JAPANが世界的ネットワークを駆使し、海外に向けてジャパンカルチャーを発信するプロジェクト。海外目線による独特の切り口で、日本のアーティスト・イベント・ファッション・カルチャーなどを紹介する、まさにMTVだからこそ可能な世界をまたぐグローバルな番組。

http://www.mtv81.com/

『アップルシード アルファ』

『アップルシード アルファ』

監督:荒牧伸志
制作:SOLA DIGITAL ARTS
プロデューサー:ジョセフ・チョウ
音楽プロデューサー:安井輝
製作:ソニー・ピクチャーズ・ワールドワイド・アクイジションズ、ルーセント・ピクチャーズエンタテインメント
本編尺:約93分

参加アーティスト:
中田ヤスタカ(CAPSULE)、Skrillex & Alvin Risk、androp、 CAPSULE、DJ FUMIYA(RIP SLYME)、パスピエ、Q;indivi+、tofubeats、AKLO、80KIDZ、nishi-ken、RAM RIDER

http://appleseedalphamovie.com

Motion picture © 2014 Lucent Pictures
Entertainment Inc./Sony Pictures Worldwide Acquisitions Inc., All Rights Reserved. Comic book © 2014 Shirow Masamune/Crossroad

パスピエ

パスピエ

2009年に成田ハネダ(key)を中心に結成。バンド名はフランスの音楽家ドビュッシーの楽曲が由来。卓越した音楽理論とテクニック、70s~00sまであらゆる時代の音楽を同時に咀嚼するポップセンス、ボーカルの大胡田なつきによるMusic Clipやアートワークが話題に。11年に1st ミニアルバム「わたし開花したわ」、12年に2nd ミニアルバム「ONOMIMONO」をリリースし、ロング・セールスを記録中。13年3月に初のシングル「フィーバー」をリリース、6月12日にメジャー1stフルアルバム「演出家出演」を発表。その後数々の大型ロックフェスに出演、好評を博し、また東阪で行われたパスピエ主催によるイベント”印象A”、 ”印象B(w/the band apart)”もソールドアウト。10月末から12月21日の赤坂BLITZまで初のワンマンツアー「印象・日の出」、追加公演「印象・日の出外伝」を開催、全箇所ソールドアウトし成功を収める。 14年3月26日初の両A面シングル「MATATABISTEP/あの青と青と青」をリリース、4月に自主企画イベント第三弾"印象C"に9mm Parabellum Bullet/クラムボン/髭を招いて開催、即日ソールドアウト。6月18日に2ndフル・アルバム「幕の内ISM」をリリースする。

OFFICIAL SITE:http://passepied.info/