特集

TOKYO IDOL PROJECT クリエイターズふぁいる
~篠田利隆(アマナ異次元)インタビュー~

日々新たなヒロインが誕生し切磋琢磨するアイドルシーンにおいて、活躍する彼女たちに光をあてるクリエイターたちへのインタビュー企画「クリエイターズふぁいる」。
今回は、私立恵比寿中学やバンドじゃないもん!などのミュージックビデオを手掛ける映像ディレクターにして、オタクカルチャーを軸にプロモーションの企画から制作までを一手に担う専門チーム「アマナ異次元」に所属し、妄想キャリブレ―ションに関わっている篠田利隆さんにお話を伺いました。二次元と三次元のミックスが進むオタクカルチャーの未来について語っていただくインタビューをお送りします。


Interview・Text:金子厚武 / Photo:上野修宏



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【音楽ファンもアニオタも似てるなって思ったんですよね。】

篠田さんの所属している「アマナ異次元」は、どういった経緯で立ち上げられたチームなのでしょうか?

篠田利隆(以下、篠田):僕はもともと音楽好きで、オタクカルチャーにはそこまで詳しくなくて、4年前に仕事の絡みで初めて『まどマギ』の存在を知ったんです。最初は「萌えとか嫌だ」みたいな感じだったんですけど、実際に見てみたら、僕がそれまで思ってた萌え文化とは違う、いろんな側面を持ってるってことを見せつけられて、映像クリエイターとして、これを知らないっていうのは今後オワコンなんじゃないかと思ったんです。

そこからオタクカルチャーにハマって、いろいろ調べていくと、音楽ファンもアニオタも似てるなって思ったんですよね。どっちも好きなものにお金を使いたいし、ハマりたいんだけど、誰かに操られてるような感じでそれをやるのは嫌で、そこを誤ると、結局「広告でやるとこうだよね」みたいな話になっちゃう。なので、これはちゃんと会社の一部門としてやるべきだし、もうその頃には自分も買う側としてオタクカルチャーを楽しんでたので、その目線も取り入れてやりたいと思ったのがきっかけです。

「異次元」というネーミングには、どんな意味が込められているのでしょうか?

篠田:僕はもともとアニメから、二次元オタからスタートしてるんですけど、ある日でんぱ組.incとかのミュージッククリップをやられてるLOKIのプロデューサーさんから、「オタクだから、エビ中好きでしょ?」って感じで仕事の話を振られて、最初は「ドルオタでなくアニオタなのに……」って感じだったんですね(笑)。でも、エビ中がやってることも面白かったし、ファンタジスタ歌麿呂がやってたでんぱ組.incの初期の感じとか、やっぱりオタク文化で面白いと思ったから、「やるやる」って言って、そこからわりとアイドルの仕事が増えて。

これからはボーカロイドのIAちゃんに中学生で衝撃を受けて、『メカクシティアクターズ』が好きみたいな、アニメもボカロもアイドルもみんな好きって人がどんどん増えていくと思うんですよね。これまではアイドルとアニメって、三次元と二次元だから違うみたいな感じがあったと思うんですけど、そこがミックスされて、もっと自然になって行く。そういう異次元的な文化を作り出すというか、その壁が取り払われる手助けができたらいいなっていう想いから、「異次元」っていう言葉を使ってます。

篠田さんが関わられてる妄想キャリブレ―ションも、まさに次元を飛び越えるようなイメージのアイドルですよね。もともとは作曲の利根川貴之さんとお知り合いで、そのつながりでミュージッククリップを担当されるようになったとか。

篠田:そうです。僕がデビューしたときのCMの音楽を利根川さんにお願いしてるんで、広告業界で一番古い付き合いなんです。で、僕は3年ぐらい前にアニメにハマり、彼はアイドルにハマって、でんぱ組.incの曲とかをやり出した。それで利根川さんが妄キャリのプロデューサーになったときに、話を振ってくれて。

もうその頃にはすっかりアイドルにハマっていたわけですよね? 「アマナ異次元」のホームページに掲載されている対談の中で、「僕は女の子に生まれ変わってアイドルになりたいと思っていたぐらいなんですけど、自分はなれないからモノを作ってると思うんです」という発言もありました。

篠田:でも、妄キャリとずっと一緒にいると、「なりたくないな」って、最近は思ってます(笑)。「これは相当大変だな」って。でも、かわいい女の子たちが溌剌として何かをしてるっていうことに対する羨ましさみたいなのはめっちゃあります(笑)。

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【妄キャリの子たちって、サンリオのキャラみたいなんですよね。】

そんな篠田さんが思う、数あるアイドルの中での妄キャリならではの魅力とは?

篠田:まずは、本人たちがオタクだってことですね。妄キャリはもともとディアステのメイドさんだったりして、アイドルではないけど、かわいい衣装を着てお仕事をしたいって子がやる職業から、ホントにアイドルになっちゃうっていう流れなわけですよね。それってオタクの子が「セーラームーンになりたい」って憧れてることと同じで、結構ハードルが高い夢じゃないですか? その根本にあるモチベーションは魅力ですよね。

今は地下アイドルにもいいクリエイターがつくようになってきたけど、妄キャリをやり出した頃は、僕らみたいな広告やMVやってるようなプロの撮影出来る人達に出会えないアイドルもいる中で、妄キャリとはいろんな人間関係で巡り合えたので、とことんやってやろうと思いました。普通に売れてもらいたいし、大げさじゃなく、紅白とかも目指してるんです。

今おっしゃったメイドさんがアイドルに変わる感じ、もっと言えばキャラクターに変わるような感じっていうのは、実写とCGのシーンがパッと切り替わるミュージッククリップにもよく表れていますよね。

篠田:もともと「みんなで夢に向かって妄想する、恋しちゃいそうなアイドル!」っていうキャッチコピーだったりするように、メンバーもファンも僕らクリエイターも妄想大好きな人たちの集まりで、その感じをミュージッククリップで体感してもらいたいっていうのがすごく強いです。僕の勝手なイメージなんですけど、妄キャリの子たちって、サンリオのキャラみたいなんですよね。

というと?

篠田:クラスにいそうな可愛い子と言った感じなんだけど、なんか独特の雰囲気があるというか、意外とその辺にいそうなんだけど、でも掴むことはできない。そういう妄キャリ独特の、フワフワした、人間のようで人間じゃないような感じってあると思うんです。でんぱ組.incはカルチャーがしっかりベースにある子たちで、相当インテリジェンスがあるっていうか、カルチャーに詳しくないと、オタクカルチャーにハマれなかった世代の子たちだと思うんです。でも、妄キャリの子たちって、そこまでの特別感はないんだけど、でもなんか現実感がないっていう、面白い存在だなって思うんですよね。

全体企画・実写部分:篠田利隆(アマナ異次元)/アニメパート:大橋史、中内友紀恵(※メンバーのアニメーション)/プロジェクションマッピング・web施策:天野清之(面白法人カヤック)らが担当。

『幻想恋花火』MVについて(篠田利隆)

もともと、ストーリー物が今回良いというオーダーを事務所さんから頂きました。「低級霊が妖化して力を手にいれて、人間と恋が出来なくなる」というプロットを書きそれをベースにMVの仕組みに作り変えた感じです。MVではファンの方が自由にストーリー捉えて欲しくて色々な解釈できるように作りました。世界観(設定)をより深く楽しんで戴くために公開一週間前に特設サイトをつくりメンバー六人で朗読リレーをしたり、しっかり世界観にファンの人が入って貰いMVをより楽しんで貰う仕組みにしました。